子どもたちに,「どちらの面積が大きいでしょう」と尋ねます。正方形の中に中心角が90°の扇型が収まった図形と,同じ大きさの正方形の中に円が内接する図形です。直感で大きさを比較させます。子どもの予想は,扇型・円・同じに分かれます。
本当はどの面積が大きいのでしょうか。子どもたちは,正方形の1辺の長さを知りたいと考えました。長さが何㎝なら考えやすいのか尋ねると,「4㎝」と声があがります。そこで,正方形の1辺が4㎝として考えます。その結果,扇型も円も面積は12.56㎠になりました。面積は同じになったのです。
次に提示したのは,正方形の1本の対角線で作られる
三角形と,同じ正方形の辺の中点同士を結んでできる正方形の面積です。この2つの図形については,「計算しなくてもわかる」と声があがりますが,念のために計算で面積を求めます。いずれの図形も,面積は8㎠になり面積は同じになりました。「計算しなくてもわかる」というのは,大きな三角形を4分割していくと,左の正方形とぴったり重なると考えたからです。
この面積が同じであることがわかった後,「あっちと同じ」という声が聞こえてきました。この声の意味を考えていきます。この声の意味の捉えは,子どもによって様々でした。その中でも「左の形の縮小版が右の形の中に4つある」という見方がおもしろいものでした。円にも正方形にも,右側の図の縮図が4つ分入っています。この関係の場合,面積が同じになるきまりのようなものが見えてきたからです。