2018年11月20日火曜日

4年小数のわり算を子どもが拡張する

4年生「小数÷整数」の導入場面です。子どもたちに次の問題場面を提示しました。

mのうまうま棒があります。4人で等しく分けます。1人分は何mでしょう」

実は,この問題状況と似た場面を小数のかけ算でも学習しています。従って,子どもたちは「が整数なら簡単。でも,小数になったら計算ができない」と声をあげてきました。小数のかけ算の学習がうまくつながっていることが実感できました。

そこで,が2.4mだったら1人分は何mになるのかを考えました。子どもたちは,小数×整数のかけ算で,小数を整数値に置き換えることで計算ができることを学習しています。そのため,この場面でも同様の考え方が生まれてきます。

「小数のかけ算と同じにすれば計算ができるよ」
「2.4÷4では計算ができないでしょ。でも,2.4を10倍して24にすれば24÷4になって計算ができる。これなら答えは6」
「でも,最初に2.4を10倍しているから,最後に答えを10でわらないとだめだから,答えは6÷10で0.6」
「確かめ算をすると,0.6×4=2.4だから答えは合ってるね」

小数のわり算の筆算形式も,同様の考え方で子どもたちは説明していくことができました。2.4を10倍して24÷4と考えて筆算を行います。このまま筆算を行うと答えは6です。しかし,先ほど10倍しているので,答えをここで10でわります。わり算の筆算も,かけ算の筆算と同じように子どもたちは考えました。

ここまでは,小数のかけ算での学びをわり算にも当てはめて子どもたちは考えていきました。ところが,子どもたちに学びの意欲はここではとどまりませんでした。
「あまりが出てきたらどうなるの?」
「あまりだって,同じようにすればいいよ」
「小数÷小数になったらどうなるの。これも同じようにできるのかな?」

子どもたちが場面を広げて,これまでと同じ考え方でできるのかどうかを考え始めました。深い学びの世界へと入っていきました。

先ずは,あまりのある計算に挑戦します。

4.9÷5

これも,先ほどまでと同じように考えます。4.9を10倍して49÷5と計算します。答えは,9あまり4となります。子どもたちは,ここから次のように考えます。
「だから,答えも10でわって,あまりも10でわればいいよ。0.9あまり0.4」
「たしかめ算でも大丈夫だよ」

小数÷整数であまりのある場合のあまりの大きさについて,子どもたちは確かめ算を通して計算方法を見つけていきました。すると,今度は次の声があがります。

「小数÷小数であまりが出たらどうなるの?」
「それだって,さっきと同じで方法でいいよ。同じ数でわればいいよ」
「整数だって同じだったよね」
「60÷40だって,そうだよ」

ここで整数の計算方法を想起する声が生まれてきました。そこで,子どもから生まれてきた60÷40を例に整数の場合のあまりを考えます。

「60÷40を両方10でわります。式は6÷4で答えは1あまり2」
「だから,答えは10倍します。10あまり20です」
「あれ,おかしい。確かめ算をすると違う」
「答えは1だ。あまりだけ20だ」
「なんでだ?」

小数÷小数のあまりを考えるつもりが,整数÷整数で子どもたちは壁にぶつかってしまいました。するとここで,次の声があがります。

「9月14日,似た勉強をしています。わる数とわられる数に同じ数をかけてもわっても答えは変わらないという勉強をしました。だから,答えは変わらないんです」

約2ヶ月前のわり算のきまりの学習を想起してきたのです。すばらしい学びの姿です。このきまりは学習済みですが,子どもの学びはなかなかつながらないものです。このような姿が生まれた時に,点と点をつないだ姿を価値づけていきます。

さて,この説明に対して今度は次の声があがります。
「整数のわり算でのルールが,小数のわり算にもそのまま当てはまるとは限らないと思うんだけど」

この指摘で,子どもの考えが揺らぎます。
翌日,小数÷小数の計算を考えます。先ずは,3.6÷0.4の計算を考えました。この計算は,整数と同じように答えはそのままでいいことが分かりました。この問題は,整数のわり算のきまりが当てはまりました。

次に,あまりのある場合を考えます。3.7÷0.4を考えました。整数に直すと,37÷4=9あまり1です。3.7÷0.4に直すと,答えは9あまり0.1となります。前回の整数と同じように,商(答え)はそのままであまりだけ10でわることが見えてきました。整数と同じルールが当てはまることが見えてきました。

ところがここで,「なんであまりだけ10でわるの」と疑問の声があがります。子どもらしい自然な疑問です。これを乗り越えるために,確かめ算で説明する声が多数あがりました。最も子どもたちが納得したのは図を使う方法でした。それは,370÷40を37÷4に置き換える式と図を使った説明でした。

「37は10の固まりが37個でしょ。これを4個ずつ分けていきます。すると4個が9セットできます。残りは10の固まりが1個。この1個は本当は10だから,あまりだけを10倍する」

この見方・考え方も実は8月の学習で行っていました。この学びの履歴を見つける姿も生まれてきました。

小数÷小数の計算は5年生の内容です。しかし,子どもの発想は自然に学年の枠を超えて小数÷小数の世界へも拡がっていきました。その中で子どもたちは,過去の学びの履歴を次々と活用しながら問題を乗り越えていくことができました。