3年生に「表とグラフ」単元があります。グラフにするとき、少ないデータは「その他」としてまとめます。この必要性、子どもに実感させるにはどうしたらいいでしょうか?
好きな食べ物調べを事前に行いました。その結果を発表します。子どもはまだどんな食べ物が発表されるか知りません。そこで、ゆっくりと結果を発表します。
「御寿司」「ラーメン」など,子どもたちは自分の好きなメニューが発表されるたびに,喜びの声をあげてきます。
全部の発表が終わった後,アンケート状況を尋ねます。
1位 お寿司 7人
2位 肉 3人
ラーメン 3人
3位 スパゲティ― 2人
ピザ 2人
ハンバーグ 2人
ここまで発表すると,子どもから「残りは全部1人だよ」「1人が12個あるよ」と声があがります。さらに,N男が次の声をあげます。
「横が15マスしかないから入らない」
N男の声の意味を共有します。
「ノートのマスは15マスしかないでしょ。これじゃあ,全部が入らない」
「全部書いたら,横には18マスいるでしょ。3ます分足りなくて書けない」
これまで子どもたちは,棒グラフをノートに描いてきました。ノートは横に15ますしかないのです。これまで通りに1ます(行)に1つの項目を記入すると,今回のアンケート結果は溢れてしまいます。N男は,ノートのマスの数とアンケートの項目数を比較したのです。すばらしい視点です。
すると今度は,次の解決策が生まれてきます。
「だったら,1人を全部まとめちゃえばいいよ」
「その他でまとめればいいよ。その他で12人」
「それなら横は7ますで足りるよね」
マスがたりないという状況に出会ったことが,その他を使う必要感を引き出したのです。そこで,1~3位とその他を使って棒グラフを作成することにしました。
縦軸を完成した後,横軸を書きます。それまでに子どもたちは,横軸はデータを多い順に書くことを学んでいます。子どもは,横軸に何を書くでしょうか。ここは2つにわかれました。
「お寿司」と「その他」です。データの数では「その他」が圧倒的多数です。すると,次の声があがります。
「その他はおかしいよ。だって,その他は1人が集まっただけでしょ。お寿司はお寿司だけで7人だよ」
「1人を集めてその他だから,本当は1人だけのグラフだから左には書かないよ」
「その他」の必要性と位置を子どもの問いをもとに構成した1時間でした。