かけられる数の十の位が0以外で,答えがぞろ目になるかけ算さがしを,隣のクラスでも行いました。
子どもたちの式探しが始まってしばらくすると,「ないんじゃない?」「絶対にないよ」という妙な確信に満ちた声が聞こえてきました。
5分後のことです。M子が「あれ?できた・・・?」と首を捻っています。ノートを確認します。答えが11111になる式が書かれていました。そこで,その式だけを板書させます。
271×41
計算は子どもたち全員に取り組ませます。計算が終わった子どもから,「本当だ」「すごい」「できた!」と驚きの声があがります。271×41=11111になることが確認できました。
この式の存在が確認できたところで,子どもたちが動き出します。
「わかった!倍にすればいいんだ」
「そうか。それなら他もできる」
1以外のぞろ目の式の見つけ方に気付いたのです。子どもたちは,一斉にノートに向かって計算を進めていきます。その結果,次の式が生まれてました。
271×82=22222
この式は,確かに2のぞろ目になります。そこで,次のように子どもに投げかけます。
「どうやってこの式を考えたと思う。気持ちは分かるかな」
この段階では,式を見つけた論理をクラス全体で共有することが大切なのです。この論理が見えてくると,他の式の作り方も見えてくるからです。
「かける数の41を2倍にすると82になる」
「かける数を2倍したから,答えも2倍になる」
271×82の式を作った論理が見えてきました。これが見えると,3のぞろ目シリーズも簡単にできます。子どもからは,次の式が生まれてきました。
271×123=33333
これも2シリーズと同じ論理で作られています。しかし,「123は百の位だよ。十の位を超えているよ」という指摘も聞こえてきました。百の位×十の位でぞろ目を探すというルールから生まれた声です。そのルールを一部変えれば,3シリーズのぞろ目の式も作ることができることが見えてきました。
子どもの中には,百の位×十の位でぞろ目を見つけようと実験する子どもたちもいます。4シリーズを,このルールで見つけた子どもがいます。
542×82=44444
百の位×十の位で4シリーズの式を作ることができました。この式を考えた論理も共有していきます。子どもたちが説明していきます。
「41を2倍して82にしました。271も2倍にして542にしました」
「2倍と2倍だから,2×2で4倍になりました」
かけれられる数・かける数の両方を2倍ずつにすることで,4シリーズのぞろ目を見つけることができました。これまでとは異なる,新しい求め方です。その後,子どもたちはこれらのルールを使いながら,その他のぞろ目の式を見つけていきます。
子どもたちは,7以外のぞろ目シリーズの式を見つけることができました。「7はないのかな」と考える子どもたちもいます。そこで,次の式を取り上げます。
1626×41=66666
この式を考えた論理を読解していきます。(かけられる数を千の位に拡張することは,ルールとして認めることにしました)7のぞろ目シリーズを見つけるヒントとするためです。
「さっきは,271と41の両方を倍にしたでしょ。でも,この式は271だけ6倍にしている」
「271を6倍にしたから,答えも6倍になって66666ができる」
この論理が読解できると,ぞろ目7シリーズの作り方も見えてきます。
「わかった。だったら7は簡単だ」
「7倍すればいいだけだ」
かけられる数の271を7倍すれば,ぞろ目6シリーズと同じようにぞろ目の式を作ることができることに気付いたのです。
1897×41=77777
M子の1シリーズのぞろ目になる式の発見をもとに,1〜9までのすべてのぞろ目になる式を見つけることができた1時間となりました。ぞろ目かけ算の奥深さが見えた1時間ともなりました。