2020年2月19日水曜日

答えがぞろ目になる式〜その2〜

答えがぞろ目になるかけ算の式探し,その2です。かけられる数の十の位が0ではない式はあるのでしょうか。

多くの子どもたちは,「絶対にない」と考えています。一方,「まだ計算をしていないから,ないとは言い切れないよ」と主張する子どももいます。さて,本当にぞろ目になる式はないのでしょうか。

子どもたちがノートに向かって,ぞろ目の式探しに取り組みます。しかし,かけられる数の十の位が0以外の式探しは難航しました。やがて,「答えの一の位と,かけられる数とかける数の一の位のかけ算の答えの一の位は同じになる必要がある」という解決へのヒントに気付く声があがってきました。ところが,このヒントでも式探しは難航しました。

そこで,私からヒントを提示します。
「271×□□で答えがぞろ目になる式を考えてみよう」

しばらくして,「あった!」とK男が声をあげます。K男が見つけた式だけを板書させます。K男が見つけた式は,「271×82」です。子どもたちは,この計算をノートに進めていきます。やがて,「本当だ!」「できた」「すごい」と驚きの声が次々とあがります。答えは「22222」です。ぞろ目の答えの式があったのです。多くの子どもたちは,ぞろ目の答えの式はないと思い込んでいただけに,式が発見されたときの感動は一層大きなものとなりました。

1つ目の式が見つかると,あとはこの式をベースにした別の式が見つかっていきます。

542×41=22222

この式は,271×82のかけられる数を2倍に,かける数を1/2にして見つけた式です。このように,それまでに見つけた式をベースに,他の式探しが加速していきます。

813×41=33333
271×41=11111
813×82=66666

これらの結果を見た子どもたちは,自然に次のように話し始めます。

「まだ,数字が4,5,7,8,9のぞろ目の式がないね」
「計算すれば4,8シリーズはできるよ」
「5,7,9はできなかもしれないね」

その後,子どもたちはまだ見つかっていない式探しに取り組みます。「271×41=11111」の式をもとに,式変形を進めていくことですべてのぞろ目の式を見つけていくことができました。

子どもたちはぞろ目になる式探しを通して,実に多くのかけ算に取り組みました。実は,この学習そのものは計算練習にもなっているのです。単なる計算練習も,このような目的意識を持って取り組むと,子どもが進んで取り組む時間へとレベルアップすることができるのです。