算数の時間,次の問題を子どもたちに提示します。
「串に刺さった団子を食べました。食べた団子の数は何個ですか?」
「答えが出せない」「団子は何個?」と声があがります。さらに「団子は3個串に刺さっている」「3個で1個になっている」と声が続きます。
「3個で1個」とはどういう意味でしょうか? 3個は3個のはずです・・・。そこで,この言葉の意味を子どもたちに問いかけます。
「3個で1セットということだよ」
「5セットなら3×5になるんだよ」
「何セットか分かればできるよ」
「セット」という言葉が生まれてきたことで,団子の問題をかけ算で表すことができることが見えてきました。
その後,セット数を増やして団子の数をかけ算を使って求めていきます。セット数が増えていくと,子どもから「おもしろいことがある」と声があがります。
「3の段も3ずつ増えていく」
「だって,5の段は5個ずつ増えて,2の段は2個ずつ増えていたからだよ」
これまでに子どもたちが学習したかけ算は5,2の段です。そこで子どもたちが見つけたきまりをもとに,3の段にもそのきまりが当てはまると考えたのです。類推的な見方が生まれてきました。
さらに次の声も生まれてきました。
「3×5のかけられる数とかける数を反対にすると,5×3で5の段が見える」
「だったら,3×1は1の段,3×2は2の段,3×4は4の段が見える」
「答えの一の位が3,6,9,2,5,8,1,4,7,0と繰り返す」
一の位が繰り返す声は,実際に確かめないと検証することができません。授業前半で子どもたちが見つけた「答えが3ずつ増える」決まりを使えば,3×□の答えは永遠に求めることができます。答えを順に書き出していくと,一の位のきまりが正しいことも見えてきました。
かけ算を作り出す場面でも,子どものアイディアがあふれる時間となっていきました。