子どもたちに次のように投げかけます。
「0.1.2.3.4の5枚の数字を全て使った,百の位×十の位のかけ算の式を作ろう」
式のイメージはすぐにつきます。そこで,「答えが一番大きくなる式を作ろう」と投げかけます。計算をしないで,頭の中に答えが最大値になる式として浮かんだものをノートに書かせました。
頭に浮かんだ式を,発表させます。
「ア:321×40」「イ:210×43」「ウ:310×42」
「エ:420×31」「オ:320×41」
5つの式が発表されました。この中で子どもたちが大きくなりそうだと考えたのは,エとオの式でした。
「かけられる数・かける数の左の数字がどちらも4と3だから,同じになる?」
「でも,かけられる数を大きくした方が答えが大きくなるよ」
「十の位のかけ算だけ見ると,エが2×3でオが2×4だからオが大きくなる」
新しい理由が発表される度に,子どもたちの心も揺れていきます。「わかんなくなってきた」という素直な声も聞こえてきました。
最後は計算で最大値の式を確かめます。その結果,「オ:320×41=13120」で最大値の式なることが分かりました。
実は,この答えになる式はもう1つあります。その式を,この後探していきます。
「カ:410×32」も答えが13120で最大になることが分かりました。答えが最大の式が2つあることが見えてきました。すると今度は,新しい発見が生まれてきました。
「おもしろいことがあります。カのかけられる数の320を10でわると,オのかける数の32になる。カのかける数の41を10倍すると,オのかけられる数の410になる」
「÷10して×10したら答えは同じになる」
「だったら最初の式もそうなっている。210×43と430×21も同じ答え」
「310×42と420×31も同じ」
「÷10して×10をすると同じになるんだ」
「エレベーターになっているんだ」
「でも,これって一の位に0があるからできるんだね」
答えが最大になる式探しを進めながら,答えが同じになる式の秘密にも気が付いていくことができました。気がついたら,随分とたくさんの計算練習をしていたことになった1時間でした。目的意識のある計算練習は,子どもたちも喜んで取り組みます。