東洋館出版社から発刊されている板書シリーズの3年生下巻にある問題を使って,授業をスタートしました。この日の私の想定は,板書シリーズの流れを作ることでした。
最初に,次のように投げかけます。
「2□×2□の計算をします。□には同じ数が入ります」
子どもたちに数字を選択させます。「7」を□に入れることになりました。従って,計算は27×27という式になります。この計算を筆算で行います。
「27×27=729」
答えが出ました。今度は,この式をもとに次のように投げかけます。
「かけられる数の27を1増やします。かける数の27を1減らします。28×26に式を変身します」
すると,子どもからは「答えは同じ」という声が聞こえてきます。よい声が生まれてきました。この声の意味をクラス全体で読解します。
「式の数が1増えて1減ったんだから,答えは同じだよ」
「たし算でも同じことがあったよね。だから,これも同じだよ」
「でもさあ,それはたし算でしょ。これはかけ算だから違うんじゃない?」
「同じ」を巡って両者の声が生まれてきました。こうなると,子どもたちは早く計算をして確かめたくなります。
計算の結果は,「728」となりました。答えは「729」よりも1小さくなったのです。想定外の結果になった子どもたちもいました。
さて,この結果を見た子どもたちは,次の問題場面を創り始めます。
「だったら,式の数をまた1増やして1減らしたら,答えはまた1減るね」
「だから,29×25なら727になるんじゃないなか?」
多くの子どもは,この予想に自信満々です。そこで,実際に計算で確かめます。
すると,答えは「725」となり,またまた子どもの予想を裏切る結果となりました。ところが,子どもはこの結果をもとに,新しい予想をしていきます。
「わかった!答えの減り方は,ー1,ー3,ー5となるんだ」
「減る数の差は,2ずつになるんだ」
「だから,ー7,-9と続いていく」
答えの数の減り方に新しいきまりを発見したのです。そこで,このきまりが本当なのかを確かめていきます。
「30×24=720」
「やっぱり,5減った」
「31×23=713」
「おー,7減った」
子どもたちのきまりの予想は正しかったようです。
授業当初に感がていたプラントは異なる展開となりましたが,子どもたちはきまりを発見しながら楽しく計算に取り組むことができた1時間でした。