2けたをかけるかけ算の学習の一コマです。子どもたちに次のように投げかけます。
「暗算と筆算,どちらが簡単ですか」
子どもからは,「使い分けたらいい」という声が聞こえてきました。鋭い指摘です。そこで,どのように使い分けたらよいのかを考えさせます。
「繰り上がりのない計算は暗算。繰り上がりのある計算は筆算」
「かける数が小さい数の時は暗算。大きい数の時は筆算」
「筆算はどんな数でも大丈夫だから,最初から筆算にしておいた方がいい」
「かけられる数・かける数の一の位が5より小さいときは繰り上がらないから暗算。5より大きいときは繰り上がるから筆算」
子どもたちなりに,計算式を分解して2つの計算方法を使い分ける方法を考えていくことが出来ました。鋭い考え方が子どもでもできるのですね。
その後,いくつかの問題を解き進めていきました。23×3の問題場面です。これは暗算が簡単そうです。ところが,暗算での計算順にズレが生まれました。「3×3+20×3」と「20×3+3×3」です。一の位の計算が先か,十の位の計算が先かの違いです。
筆算の計算方法を適用すれば一の位を先に計算します。ところが実際に計算を行うと,違う感覚が生まれてきます。
「60に9をたした方が,9に60をたすより簡単」
「一の位が0に9をたすのは簡単。一の位の9になにかをたすのは難しい」
「5月27日にも似た勉強をした。35+46では,70に11をたす方が11に70をたすより簡単だった」
「他の式でも実験したら,一の位から計算した方
が簡単だたよね」
「やっぱり一の位が0だとたしやすいんだね」
9ヶ月以上前の学習と関連付ける子どもたちの見方にびっくりしました。
その後,24×4,25×4で本当に十の位を先に計算する方が簡単かを実験します。その結果,ほとんどの子どもたちが一の位を先に計算する方法に簡便さを実感しました。