3年生「2けたをかけるかけ算」の学習場面です。これまでに筆算を使わずに計算する方法を考えて取り組んできました。かけられる数を位毎に分解する「片方サクランボ」方式と,かけられる数・かける数の両方を位毎に分解する「両方サクランボ」方式の2つの方法が子どもから生まれてきました。
子どもたちに,次のように投げかけます。
「両方サクランボ・片方サクランボは,どんな計算でもできるのかな」
先ずは,42×35を両方の方法で計算してみます。計算を終えが子どもからは,次のような声が聞こえてきました。
「両方サクランボは,(サクランボで分けた数字を結ぶ)線が多くなってごちゃごちゃする」
「かけ算を4回もするから,難しい」
「十の位の計算と一の位の計算が混じっていてごちゃごちゃする」
「数字が多くて,計算ミスをしそう」
「でも,両方サクランボは正確にできるんじゃないかな」
「片方サクランボは,(数字を結ぶ)線の数が少ないから分かりやすい」
「かけ算が2個しかないから分かりやすい」
「でもさあ,42という中途半端な数をかけるからやりにくい」
子どもからは,2つの計算方法についての長所と短所を指摘する声があがってきました。全体としては,片方サクランボが分かりやすいという声が多数を占めました。
そこで,「他の式で,片方サクランボと両方サクランボを実験しよう」と投げかけます。すると,この声に対して「だったら,使い分けたらいい」と声があがってきました。「使い分ける」の意味をクラス全体で読解していきます。
「速く計算したいなら片方サクランボ」
「でも,数字が中途半端だと計算を間違えるかもしれない」
「だったら正確にやりたいなら,両方サクランボがいい」
「両方サクランボは間違えないもんね」
「でもさあ,線がごちゃごちゃする」
「だったら,線を色分けしたらいいよ」
「計算は間違えたら意味がないから,両方でやればいいんじゃないの」
使い分けのアイディアに対しても,両面の声が聞こえてきました。
ここで,97×86の式を提示します。数字を見た子どもから「100に近い数だ」「大変そう」との声があがります。子どもたちは,今度の計算は難しそうだと直感したようです。
その後,計算に取り組みます。正確に計算ができると考えていた両方サクランボですが,実際に計算をすると計算間違いをする子どもが続出しました。一方,片方サクランボは速く,しかも間違えずに計算できる子どもが多くなりました。
計算後の子どもたちに,取り組んだ気持ちを聞いてみます。
「片方は速くて正確にできた」
「両方は時間もかかるし,間違えてしまう」
「百の位の計算になったらどうなるのかなあ?」
「そうなると両方とも難しくなりそう」
子どもたちから,考える数値の範囲を百の位に拡張する声が生まれてきました。子どもが対象範囲を自ら拡張するよき姿が生まれてきました。