2019年12月3日火曜日

量分数と分割分数の壁を乗り越える

3年生の「分数」学習もいよいよ大詰めです。子どもたちに「□mの図はどれでしょう」と投げかけます。

1問目は,「2/3m」を提示します。子どもたちは,一斉に左の図を指さします。理由を説明してきます。

「だって,1mを3つに分けたわけたうちの2つ分だからです」

的確に説明ができました。
第2問目は,「1/4m」で,提示したのは右の図です。左の図は,全員が1/4mだとして指さします。1問目と同じように,「1mを4つに分けたうちの1つ分」と説明してきます。
一方,意見が分かれたのが右の図です。2mを4等分した図です。この図を1/4mと考える子どもの論理を,全員で考えます。

「2mを4つに分けた1つ分だから」

1問目の説明を活用した見方です。この見方は,高学年でも混同が見られるものです。さて,この見方について「でも,それは違う」と声があがります。

「それは1/4mじゃなくて,2/4mだよ」
「もし,青の長さが1/4mだとします。そうすると,その隣は,2/4mになる。その隣は,3/4m。最後は4/4mになる。でも,本当は2mだから8/4mにならないとおかしい」(S男)

このS男の説明に,「そういうことか!」と声があがってきました。しかし,この説明は1回ではクラス全体には伝わりません。時間をかけて,クラス全体に共有していきました。
S男の説明は,敢えて青のテープの長さが1/4mだとしたらと仮定した上で論を進めていったのです。1/4mと考える友だちの論理をいったん認めたのです。しかし,その論理でその先を考えていくと,最終的に矛盾する場面(本当は8/4mなのに4/4mになっている)に出会うことを説明したのです。子どもにとっては,このように相手の論理を正しいと仮定して,その後の展開を進める矛盾に気付かせる展開が納得しやすいのかもしれません。

量分数と分割分数の混同は,高学年でもよく見られます。その解決方法の1つが見えた1時間でした。