1年生に「りんごの数は何個でしょう」と投げかけます。右のリンゴの画像を提示します。子どもたちは,「20個」「35個」などとリンゴの予想数を発表していきます。それと同時に,「よくわからないから,同じ紙がほしい」と声をあげてきます。そこで,同じリンゴが印刷された紙を配布します。
子どもたちがリンゴの数を数えていきます。数え方は様々です。
「1,2,3・・・」
「2,4,6・・・」
「5,10,15・・・」
「10,20」
多くの子どもは10ずつまとめて数えていました。そこで,「10ずつ数えるお友だちが多いんだけど,その気持ちは分かるかな」と尋ねます。
「だって,10でまとめたほうが分かりやすい」
「前の勉強で10の固まりで考えると簡単というのをやったでしょ。それと同じ」
「10月16日の勉強で,10を作って考えると簡単に計算ができるのをやったでしょ。だから,10でまとめると簡単」
子どもたちは,既習の10のまとまりのよさを想起することができました。1年生でも,過去のノートを探しながら,どの学習とつながっているのかを具体的に指摘していくことができるのです。すばらしい1年生です。
10ずつ数えるよさを引き出すことができました。この気付きをもとに,20を超える数の表記の仕方も指導していきます。
さて,今回のリンゴの数は28個です。1ずつ数えても,2ずつ,5ずつ数えても,それほど大変ではありません。そのためか,「2ずつがいいよ」と考えている子どももいました。
そこで,今度は右のリンゴを提示します。見ただけで子どもからは,「うわー」「多過ぎ」と声があがります。
同じ紙を子どもたちに配布し,リンゴの数を数えさせます。リンゴの数が多すぎることもあり,ほとんどの子どもは10ずつの固まりを作って数えていました。一方,1つずつ,2ずつ数える子どももいました。
1ずつ数えた紙,2ずつ数えた紙をテレビに投影し,子どもたちに数えさせます。いずれの数え方も,途中で「あれ,どこまで数えたっけ?」「ここ,まただぶった?」と分からなくなってしまいました。それを見ていた別の子どもが,「そうじゃないよ!」と元気よくテレビの前に登場してきます。ところが,その子どもたちも途中で何個まで数えたのかが分からなくなってしまいました。1年生らしい微笑ましい光景です。
今回のリンゴの数は80個です。10の固まりで数えれば,10が8個。従って,10,20,30・・・80と一気に数えることができます。
ある程度大きな数を数える体験を通すことで,子どもたちは10ずつ数えるよさを実感していくのです。最初に提示した28個程度では,そのよさを実感することは難しいのです。10ずつ数えるよさを子どもたちにすぐに実感させることは簡単ではありません。2段構えで教材を提示し,体験をさせていくことが大切です。