2020年6月2日火曜日

遠隔授業で忘れてはいけないこと

6月になり,各地の学校が再開しています。しかし,再びコロナ感染拡大により休校に追い込まれる可能性もあります。各自治体では,国の支援もあり急速にICT環境が整いつつあります。それに伴い,多くの学校や自治体で遠隔授業も始められています。

遠隔授業作りへの取り組み自体は,価値があることです。しかし,そこで公開されている遠隔授業の品質は,残念ながら高いとは言い難い面があります。理由の1つが,遠隔授業を実施すること自体が目的化していることです。

忘れてはいけないことは,この4月から新学習指導要領が本格実施されたことです。そこでは,「主体的・対話的で深い学び」による授業の改善が大きな目標の1つとされています。私は,遠隔授業であっても「主体的・対話的で深い学び」による授業展開を進める必要があると考えています。

カメラの前で,先生が単に学習内容を伝えるだけでは「主体的・対話的で深い学び」にはつながりません。また,おもしろおかしく学習内容を伝えようとする試みも見られます。しかし,それも「主体的・対話的で深い学び」につながる授業とはいえません。「主体的・対話的で深い学び」による授業改善の視点は,遠隔授業での動画にも必要です。

先日,大阪府のある市の教育センターで指導主事さんを対象にした遠隔授業作りのノウハウ講座を開催しました。私が担当しているスタディーサプリの動画作りでの経験もとに,どのように動画作成を進めれば「主体的・対話的で深い学び」による授業作りができるのかを実際の動画も見ていただきながら行いました。どの指導主事さんも目から鱗状態でした。

動画撮影当初は慣れないこともあり,一方的伝達授業になることもあるかもしれません。しかし,今後は「主体的・対話的で深い学び」による授業動画作りをめざしていただけたらと考えています。教室の授業でも,遠隔授業でも学習指導要領の趣旨を生かしていくことが大切です。