2020年6月11日木曜日

379を漢字で書くと(2年「1000までの数」)

2年生「1000までの数」の一コマです。子どもたちに,次のように投げかけます。
「漢字で書けるかな?」
ホワイトボードに「379」と板書します。この数字の読み方を,漢字に直します。
子どもの反応は2つに分かれました。1つ目は,「三七九」です。「これでいいじゃん」という子どもと,「それはおかしい」という子どもの声があがります。
そこで,「三七九と書いたお友だちの気持ちは分かるかな?」と「三七九」と表記した子どもの気持ちの読解を行います。
「三百七十九の百と十を省略した」
「379の3を漢字に直すと三,7は七,9は九だから」
「三七九」の論理を的確に読解することができました。
だったら,「379」は「三七九」と漢字に直せばよいのでしょうか。「三七九じゃなくて,三百七十九だよ」と反論の声があがりますが,「三七九でいいんだよ」という声もあがります。これが,子どもたちの問いとなりました。
子どもたちが,自分の論理を主張していきます。

「三七九と書いてしまうと,この3つの数全部が一の位の数だと間違えてしまうから,三百七十九と書かないとだめだよ」
「三百七十九は『さんびゃくななじゅうきゅう』としか絶対に読まない。でも,三七九は『さんななきゅう』と読んでしまうかもしれない」
「数字の379は,3は百の位,7は十の位,9は一の位と分かっている。でも,三七九だけ見たら三が百の位かどうかは分からないから三百七十九と書いた方がいい」

 この説明で,多くの子どもが納得をしました。「三七九」でも間違いとは言えないが,「さんななきゅう」と読まれる可能性があるという指摘は,素晴らしい論理です。
 さらに次の説明が続きます。
「『七五三』は『しちごさん』と読むけど,『ななひゃくごじゅうさん』とは読まないから,百や十の漢字を入れた方がいいよ」

 子どもたちにとって最近の出来事である「七五三」を例にした説明が生まれてきました。私の想像を超える例示です。これには子どもたちも納得でした。絶対に読み間違いのない表記は「三百七十九」となることを,子どもたちが積み上げた論理でクラス全体が納得していくことができました。

 算数授業の目的は,正しい知識を一方的に教えることではありません。子どもの既習学習や経験値から導き出される論理を的確に積み上げて,新しいものを見つけ出すことです。子どもたちは,379の漢字表記の仕方を巡ってこの学びを具現していくことができたのです。