算数の時間,「水の多い方が勝ち勝負をしよう」と投げかけます。私と子ども代表でジャンケンをします。パーで勝つと3杯,チョキだと2杯,グーだと1杯の水を大きなカップに入れていきます。このジャンケンを繰り返し,最後に水のかさが多かった方が勝ちというゲームです。
ルール説明後,ゲームを始めようとしたその時です。「コップの大きさが違ったらだめだよ」と声があがってきました。ジャンケンで大きなカップに入れる入れ物の大きさが,先生用と子ども用で大きさが違うのではないかという疑いの声です。この声をきっかけに,さらに子どもたちの声が続きます。
「長さでも同じ事があった。先生とH先生の長さのブロックの大きさが違った」
「同じブロックにしないと,正しく比べられなかった」
「水も入れるコップが大と小では大のコップの方が勝っちゃう。小は絶対に負けちゃう」
「だから,長さと同じで同じ大きさのコップにしないとずるになるよ」
「長さには単位があったから,水にも単位があるんじゃないかな?」
長さの学習で,2人のテープの長さ比べを行いました。その際,子どもたちは長さを測定するブロックの大きさが異なる場面を体験しています。ブロックの大きさが異なると,正しく長さの比較ができないため,共通のブロックを使わなければいけないことを学習しました。
子どもたちは,既習の長さの学習とつなげて水を入れるカップの大きさが共通でなければ正しく水のかさ比べができないことに気付いたのです。長さと水のかさの学習をリンクする視点が生まれてきたことにびっくりしました。
実は,写真のように子ども用は左のカップ,先生用は右のカップを子どもに気付かれないよう使用する予定でいました。ところが,子どもたちはこの私の企みを早々と察知したのです。しかも,その根拠を長さの学習とつなげることができたのです。すばらしい子どもたちの発想力です。
この学習は水のかさも共通の道具で想定しなければ正しく比較ができないことを学ぶことをねらったものです。そのために仕掛けを企てたのですが,子どもの発想の方が1枚も2枚も上手でした。最終ゲーム結果は,子どもチームの2勝0敗となりました。