「□や○がどんな数ならわりきれるかな」
この投げかけに対して,「3個ある」「いや,もっとあるよ」と声があがってきました。子どもたちは,わりきれるわり算の数に目が向いています。
そこで,何個あるのかノートに実験を行いました。この実験過程で子どもから,「8個ある」と声があがってきました。実際に計算を行うことで,子どもたちはわりきれる式の個数が8個あることを見つけました。
見つけた式を板書させます。見つけた式の数が全部で8個あることが確認できました。
ところがここで,「□が小数だったら,もっとあるよ」と声があがってきました。□が整数であるという条件設定はしていません。小数にすればわりきれる式の種類はもっと増える可能性があるのです。その可能性に気づいたすばらしい声です。
しかし,次の声があがります。
しかし,次の声があがります。
「でもさあ,まだ小数のわり算は習っていないから計算できない」
「だから,小数にするのは無理だよ」
小数のわり算は未習です。従って,□が小数のわり算はできないというのが,この時点での子どもの判断となりました。
その後,子どもたちは黒板にばらばらに貼られた24÷□=○の計算カードを並べ替えます。わる数の□を0,1,2,3と小さい順になるように並べたのです。すると,今度は「おもしいことがある」「きまりがある」と声があがってきました。
「24÷1=24と24÷2=12を比べると,わる数が2倍になると,答えは÷2になっている」
「24÷1=24と24÷3=8も同じだよ。わる数が3倍になると,答えは÷3になってるよ」
子どもたちは,わる数と答えの間に上記のようなきまりがあることを発見したのです。この発見が,授業前半の子どもの判断を見直すきっかけへとつながっていきます。次の声があがってきたのです。
「だったら,小数のわり算もできるかも・・・」
「24÷3=8でしょ。わる数の3を÷2すると,24÷1.5の式になる。答えは反対に×2をすればいいから,8×2で16になる」
「本当だ,すごい!」
「小数のわり算はできない」が,子どもたちの当初の判断でし。ところが,わりざんのきまりの発見が,その判断を見直すことへとつながったのです。
その結果,「できない」とあきらめていた小数のわり算が,「きまりを使えばできる」へと見直された瞬間でした。既習事項を活用して考えることで,小数のわり算の答えの見つけ方を考えた1時間となりました。