3年生の子どもたちに,次のように投げかけます。
「学校から高槻駅までの道のりは何mくらいあるでしょう」
高槻駅から学校までは,子どもたちの通学路です。予想の道のりをノートに書かせます。その結果を,板書させます。
実に様々な道のりが板書されました。
2m,20m,100m,200m,240m,300m,400m
板書を見ながら,子どもたちがつぶやきます。
「2mは絶対にありえない」
「だって,廊下の長さが36mでしょ。駅までは,絶対に廊下よりも長いよ」
子どもたちは,廊下の長さを10m巻き尺を使って測定しました。廊下は36mでした。この廊下の長さを基準に,子どもたちは駅までの道のりが2mはあり得ない状況であることを説明してきたのです。前回の学習の廊下の長さを基準にして考えている点が,とても素晴らしいアイディアです。このような長さの感覚は,とても大切にしたいことですね。
この基準意識の素晴らしを価値づけました。すると子どもたちは,他のデータにも目を向けてきます。
「20mもありえないよ」
「だって廊下が36mでしょ。駅までは,絶対に廊下よりも長いよ」
「そうだよ。駅までは廊下の3倍はあるよ」
「そうかなあ。もっとあるよ。廊下の10倍はあるんじゃないかな」
廊下の3倍なら約100m,10倍なら360mです。子どもたちは,廊下の長さを基準とすることで,データ全体を見直したのです。そこで,最初の予想の長さを見直すことにさせました。
その結果,子どもたちの予想は,300m台,400m台が多くを占めました。
ここで子どもたちに,次のように投げかけます。
「もし400mだったとしたら,10m巻き尺で何回測ればいいかな?」
子どもたちが,答えます。
「40回!」
「40回も!」
「大変すぎるし,時間もかかる」
「歩いている人の迷惑になる」
駅までの道のりが長くなるほど,それを巻き尺で実測することが大変になることに子どもたちは気づきました。この気づきが,新たな道具の必要感へとつながります。
駅までの道のりは,車輪式測定器を使えば簡単に測定できます。苦労の気持ちに気づいた子どもたちに,車輪式測定器に出会わせます。子どもたちは,大感激です。
この後,新しい長さの単位1㎞にも出会わせていきます。