2018年9月28日金曜日

4年「面積」導入は12本の数え棒でスタート

4年「面積」の導入場面です。子どもたちに,数え棒を12本ずつ配ります。そして,次のように投げかけます。
「2人1組でゲームをします。12本の棒をつなげて,できるだけ広い形を作ります」
 ルールは次の通りです。
・2人1組で行う
・じゃんけんをして勝った子どもが先に棒を1本置く。負けた子どもが次に棒を置く。ただし,勝った子どもと同じ向きでは置けない。
・棒の向きは縦か横
・最後に棒が1周つながらないと0点

 子どもたちが隣同士でゲームを始めます。相手と同じ向きで棒を置くことができないため,自分の思い通りの形にできずに苦戦する子どももいました。
 ゲームを終えたあるペアが,「どっちが勝ったか分からない」と悩んでいました。そこで,子ども全員をこのペアの机の周りに集めます。そして,次のように投げかけます。
「Sさんたちは,どっちが勝ったか分からないと言っています。みんなはどう思う?」
 多くの子どもたちは,なにかを数えています。やがて「引き分けだよ」と声が多数あがります。そこで,その理由を尋ねます。

「だって,12本の棒で両方とも作っているから引き分け」
 図形を構成する棒の数が同じだから,広さも同じだと考えたのです。この時点で,この理由に対する声はあがりませんでした。一方,別の理由もあがります。
「飛びだしているところに正方形があります。それがどっちも6個ずつある」
「そうだよ。正方形の数で調べればいいんだよ。6個ずつだから引き分け」
 今度は任意単位を数値化する見方・考え方が生まれてきました。これは,これまでに子どもたちが学習してきた,見えないものを数値化することで見えるようにする学習と同じ思考パターンです。

 Sさんペアが正方形6個分ずつで引き分けであることが分かりました。その直後,R男が次の声をあげます。
「ぼくは8個だったよ。今と同じ正方形が6個ある。相手のWさんは5個だった」
「同じ長さだから引き分けというわけじゃないよ」

R男は先ほどまでの話し合いの後,自分の作った図形を見直したのです。すると,Sさんペアよりも2個多い数で構成されていたことが分かったのです。本当に8個の正方形があるのかを,全員で確認します。
「本当だ。8個ある」
「12本の棒でも,8個も作れるんだ」
「いや,きっと9個も作れるよ」
R男の気付きから,周りの辺の本数と広さには比例関係はないことが見えてきました。

この後,2回戦を行いました。子どもたちは任意単位9個分の形を作ろうとゲームを進めます。しかし,相手と同じ向きで棒を並べることができなために,苦労する子どももいました。広さ,すなわち面積最大は正方形9個分の形であることが,2回戦のゲームから見えてきました。

面積は閉じた形の中の広さです。今回は,それを正方形をもとに数値化しのです。ゲームで最終的に棒がつながらない子どもは,面積はないということになります,

図形の面積の意味とそれを数値化するさを,ゲームを通して子どもが発見していくことができた1時間でした。