2019年10月8日火曜日

1年「3口の計算」での素直な子どもの疑問

1年生の子どもたちに次の問題を提示します。
「バスに10人乗っていました。バス停で6人降りました。次のバス停で3人乗ってきました。バスには何人乗っていますか」

これまでに子どもたちは,3口のたし算の学習は終わっています。その経験から,「式にできるよ」「図も描けるよ」と声をあげます。式や図に表現することを教師から提示するのではなく,式や図にしたくなる思いを引き出すことが大切です。
子どもたちは,ノートに式や図をかいていきます。しばらくした後,答えを確認します。

答えは全員が7人と求めました。そこで,「本当に7人なの?」と尋ねます。子どもたちは,「だから…」と言って7人になる理由を説明していきます。
多くの子どもたちは,前時までの3口のたしざんの学習を生かして「10-6+3」の式を発表します。問題文と式が対応していることを確認します。

ところがW子が,「その式はおかしい」と声をあげます。その理由を聞いていきます。
「だってね,6+3を先に計算するでしょ。答えは9。10から9をひくと1になるから答えが違うからおかしい」

3口のたしざんは,計算の順序を変えても答えは変わりませんでした。ところが,今回の式は計算の順番を変えると答えが異なります。W子は3口のたしざんでの考え方を,今回の計算にも当てはめて「答えが同じになるはずだ」と考えたのです。ところが順番を変えて計算すると答えは異なります。そこに違和感を抱いたのです。W子の違和感を聞いた子どもたちの中には,「10-6+3」と立式してもいいのか不安になった子どももいます。

W子の呟きをもとに,「10-6+3」の立式自体が正しいのかどうかが新たな問いとなりました。「6+3を先に計算すると,答えが変になるからだめだよ」などの発表が続きます。最終的に,立式に不安を抱いていた子どもたちが納得したのは,次の説明でした。

「10月4日の勉強で,7+3+4をやったでしょ。計算の順番を変えると,お話が変わるからだめだと勉強したでしょ。だから,この問題も順番を変えたらだめだよ」
子どもたちは,一斉に10月4日のノートを開きます。この姿,1年生ならがすごいですね。さらに,次の説明が続きます。
「6+3を先に計算すると,バスに6人乗っていました。バス停で3人乗ってきました。次のバス停で10人降りました…? 問題が変わっちゃう」

3口のたし算の学習とつなげていくことで,計算の順序と問題文の関係を改めて見直すことができました。子どもから生まれた素直な疑問の声を取り上げ,じっくりと考えていくことで,子どもたちが燃えた1時間ともなりました。