3年生の子どもたちに,次の問題を提示します。
「赤と青のテープがあります。赤のテープの長さは27㎝です。青のテープの長さが赤のテープの長さの6倍のとき,青のテープの長さの何㎝ですか」
子どもたちは,「簡単」と声をあげてきます。計算をして,青のテープの長さを求めていきます。計算をしている中から,「図にできるよ」という声が聞こえてきました。そこで,「図にもできるの?」と子どもたちに投げかけます。全員が,「できるよ」「簡単」と声をあげます。
ノートに図を描かせました。「簡単」と言っていた子どもたちですが,ノートに描かれた図は同じではありませんでした。正しく6倍を表現している図と,そうではない図です。
右の図を黒板に提示します。そして,「この図を描いた友だちに気持ちは分かるかな」と尋ねます。
「赤が青の図の中に,1,2,3,・・・6個分あるってことだよ」
「6個あるからいいね」
ほとんどの子どもたちが,この図に納得しています。ところが,「あれ,なんかおかしい」「7倍」という声が聞こえてきます。しかし,「7倍」という声に対して,「なんで7倍」という声もあがってきます。上の図が7倍に見える理由を,子どもたちが説明します。
「青の1個目と2個目の境目をスタートと考ると,(黒板の図が)6倍に見えてしまう。でも,境目はそこじゃない」
「赤と青が同じなら,それが1個分」
「青の1個分と赤の1個分は同じ長さ」
「青の1個分は1倍,2個分は2倍・・・,6個分は6倍だから,右端は7個分だから7倍になる」
「7個分はいらない」
多くの子どもたちは,赤の真下の青のテープ図の部分を0倍と考えたのです。しかし,その部分は1倍と考えることを,子どもたちは話し合いを通して見いだしてきました。子どもたちが,話し合いを進めるたびに,「そういうことか」「わかった」という納得の声が次々とあがってきました。
この問題の答え自体は,全員が計算で求めることができていました。ところが,それを図に表現するとズレが生まれたのです。図と式の理解度に差が見えた1時間でもありました。