1年生に次の問題を提示します。
「どんぐりを,K君が9個,S子さんが4個とりました。どんぐりは合わせて何個ですか」
式は簡単に「9+4」と立式できると考えていました。しかし,1年生はそう簡単に授業を先へと進めることを許してはくれません。「絶対に9-4だ」という声が聞こえてきます。なぜ,ここでひき算の式?子どもの論理を理解できますか。
「K君が9個どんぐりをとりました。そのK君のとったどんぐりから4個とった」と考えたのです。1年生は手ごわいですね。
さて,問題場面の共通理解を図ります。その後,「答えは出せるかな」と投げかけます。子どもたちは,「できるよ」「式もかけるよ」「図も描けるよ」と声があがります。
図で考えた子どもたちの思いを読解します。右の図を板書します。9+4の図になっていますが,これも1年生はすぐには全員が理解できません。時間をかけて共有していきます。
その中で,「10の固まりを作る」と説明がありました。そこで,「なんで10の固まりを作ったの?」と問います。
「だって,9のままだとわかりにくいよ。10の固まりだとわかりやすい」
「10と3なら,すぐに13ってわかる」
「10月11日の勉強で,6+4+3の計算をした時も,6+4=10にしてから,10+3をすると簡単だったよ」
「10+□ならすぐに答えがわかるよ」
子どもたちは,既習の3口の計算で10の固まりを作ったことと今回の学習を関連付けて考えたのです。10の固まりで考えるよさを,別の単元でも子どもたちは実感するだけではなく,その関連性を具体的に説明することもできたのです。
1年生も,複数単元にまたがる価値ある見方・考え方が存在することやその有効性に気付くことができるのです。