2020年1月15日水曜日

演繹的に小数を考える

3年生の子どもたちに次の問題を提示します。
「2,2,3,3,4,4,5,5の8枚の数字カードを使って式を作ろう」

このままでは式を作ることはできません。そこで,「答えが1.8になるひき算の式を作ろう」と投げかけます。
子どもたちは,「そんなの簡単」と言いながら,ノートに計算を進めていきます。計算当初は,式は1つしかないとほとんどの子どもたちが思っていました。しかし,「式は2つある」という声をきっかけに,子どもたちは答えが1.8になる式探しへと夢中になっていきます。
最終的に子どもたちが見つけたのは,右の4つの式でした。

答えが1.8になる式が4種類ということが見えた時点で,子どもから「なんで4種類かわかります」と声があがります。演繹的に考え始めた姿です。

「答えが1.8になる筆算の上と下の数字は全部2ずつ違う」
「2ずつ違うのは,2と4,3と5。数字の差が2あるでしょ。それが2つあるから,2+2で4になる」

これを聞いた子どもからは,「おー」と驚きの声があがります。子どもらしい論理です。しかし,この論理は無理矢理4種類に合わせて式を作った考えです。しかし,ここではこの論理はこのままにしておきました。

次に,「答えが0.9になる式を作ろう」と投げかけます。すると,子どもからはすぐさま「4種類」「6種類」「9種類」と式の種類数を呟く声があがります。
4種類と考える子どもは,答えが1.8が4種類の式だったから,0.9も4種類と考えたのです。
6種類・9種類と考えた子どもは,答えが0.9だからひかれる数・ひく数の違いは2−3の組み合わせは3種類ある。だから,3+3と考えたら6種類。3×3と考えたら9種類あるという理由です。
いずれの種類数も,子どもたちは自信がありません。そこで,実際に何種類の式があるのか計算で確かめます。

最終的に子どもたちが見つけた式は,右の9種類でした。すると今度も,
「なんで9種類なのかが分かります」
「式は3×3です」
「だからさっきの式も2+2じゃなくて,2×2でした」
と声があがります。

「答えの小数第一位は9。9にするためには,例えば2−3をしなければいけません。2−3の式は3種類あります」
「同じように3−4の式も3種類あります。4−5の式も3種類あります」
「だから3×3なんだ」
「さっきの答えが1.8も,3−5が2種類,2−4が2種類だから2×2なんだ」

この見方は6年生の場合の数(順列・組み合わせ)につながる見方・考え方です。この見方・考え方を活用すれば,他の答えの式の種類数も計算をしなくても見つけていくことができます。
3年生が演繹的に考えていくことは,かなりハードルが高いのが実情です。この授業では,子どもの中から自然に演繹的に考えたくなる瞬間を引き出すことができました。このような瞬間を引き出すことができれば,3年生でも演繹的に考えを進めていく授業展開も盛り上がるのかもしれません。

本時で取り上げが課題の原案は,「アイテム3年」(教育開発出版社)から引用しました。