2020年1月23日木曜日

横が入らない(棒グラフ)




3年生の子どもたちに,「好きな動物調べの結果を棒グラフにしよう」と投げかけます。子どもたちには,次のデータを提示します。

イルカ  5人
犬    4人
ウサギ  3人
馬    2人
パンダ  2人
シャチ  2人
ネコ   2人
ハヤブサ 1人
タカ   1人
ライオン 1人
トラ   1人
ヘビ   1人
ゾウ   1人
チーター 1人
サル   1人
ハムスター1人
オオカミ 1人
キリン  1人

実際にはこのデータはバラバラに提示しています。
子どもたちは,このデータをノート1ページを使って棒グラフに作り始めます。しばらくすると,「入らない」と声があがってきました。

そこで,「入らない」の意味を読解していくことにします。

「だって,横が足りないよ」
「ノートの横は15ますしかない。でも,動物は18種類ある」
「だから全部が横には入らない」

子どもたちのノートの横は15ます分です。しかし,発表された動物は18種類です。1ますに1種類の動物を記入するルールでは,全種類の動物が横には入りきらないのです。「入らない」の意味は,実際に全員が棒グラフを作図し始めたことで読解していくことができたのです。

読解と同時に,「だったら」とその解決策を発表する声があがってきました。

「ノートの向きを縦じゃなくて横にすれば,全部が入るよ」
「棒の幅を半分にすれば,全部が入る」

「棒の向きを縦じゃなくて,横向きにしたらいい(横型棒グラフ)」
「ノート1ページじゃなくて,(見開き)2ページにかけばいい」
「はみ出す分は,下の段にかく」

様々な解決策が,どんどん発表されました。どれも子どもらしいアイディアです。さらに,次のアイディアが生まれてきます。

「2人の動物が4つあるから,まとめたらいいよ」

2人だけが選んだ動物が4種類あります。それをまとめれば,横幅15ますに収まるという考えです。グラフの「その他」につながる見方が生まれてきました。
ところが,このその他を棒グラフにどう表現するかでズレが生まれました。

「棒の高さは2人分でいい」
「そうだよ。棒の下に馬・パンダ・シャチ・ネコと書けばいいよ」
「でもさあ,それだと2人シリーズの人数が2人しかいないと思われるよ」
「だから,2人ずつ(選んだ人が)いるんだから,それを上に積み上げていけばいいよ」
「8人分の棒になるね」

その他の棒の高さを合計数にするのか,各項目の1つの(代表)数にするのかでズレが生まれたのです。最終的には,グラフを見て人数が判断できるかという視点から,総数を棒に表現することを納得していきました。

あふれる横幅を節約するために,子どもたちは2人シリーズと1人シリーズをまとめて棒グラフ化することを考えました。しかし,今回の好きな動物調べの場合は,2人シリーズをまとめるのではなく,1人シリーズだけをまとめるだけで横幅はたります。そこで,このアイディアで棒グラフを作り始めることにしました。

すると,N男が「ちょっと困ったことがある・・・」と声をあげ悩む姿が見られました。


「棒グラフは多い順(に左から描く)だから,1人シリーズが11人で一番左になる。でも,本当の1位はイルカ。それが一番左に来ないのは,なんか変な気がする・・・」

N男の説明を聞いて,納得する子どももいます。一方,「でも,一番多いのが11人だから,一番左でいいよ」と考える子どももいます。その他の棒グラフの位置づけでもズレが生まれてきました。ズレをきっかけに,子どもたちが話し合いを始めます。

「1人シリーズは,サル・チーターとかの1人が集まっただけだから,一番右でいいよ」
「そして,イルカは全部イルカで5人しょ。だから,これが一番左」
「サル・チーターが混じった1人シリーズなんだから,一番右でいいよ」

棒の高さは見た目で位置づけるのではなく,棒の高さが示す中身で位置づける必要性に,子どもたちは気付いていくことができました。

棒グラフのその他の必要性,その他を扱う場合の棒の位置付けについて,子どもたちの素直な疑問をもとに気付かせていくことができました。