2年生の子どもたちに,次のように投げかけます。
「何文字あるのかな?」
子どもたちは,しばらく前に2351文字の平仮名を数える学習を行っています。その経験があるため,「えー,また」と喜び!?の声をあげます。
さて,2351文字調べの経験から,子どもたちが次の話し合いを始めます。
「千の固まりを使えばいいね」
「百の固まりでもいいね」
「前は2行で100文字だった。これなら簡単だね」
「千の固まりで数えていけば簡単だね」
数えるためのよい視点が生まれてきました。
ここで,文字数がどれくらいあるのか予想を立てさせます。予想値は次のようには様々でした。
3200文字,4000文字,9000文字,3900文字,
予想値を考えるとき,2351文字のプリントを見ているI子の姿が見えました。この姿の意味を,クラス全体に投げかけます。
「2351文字が何個分くらいあるのか,比べて考えた」
「前は2行で100文字だったから,2行が何個分入るのかを比べている」
既習の2351文字と比較することで,現在の問題の文字数を予想できると考えたのです。このI子の気持ちを読解することで,自分の予想値を変えたいと思った子どももいました。その子どもたちは,次のように予想を修正してきました。
3300文字→6500文字 3600文字→6600文字
5900文字→6700文字 5700文字→7725文字
2351文字プリントと実際に比較することで,的確な予想値へと修正することができました。
予想した子どもたちからは,「同じプリントがほしい」と声があがります。プリントを配布します。すぐに子どもたちは文字数を調べ始めます。
調べ始めるとすぐに,次の声が聞こえてきました。
「2行で100文字だ」
「20行で1000文字だ」
「千で1固まりと考えたら,1000,2000,3000と数えやすいね」
1000ずつの固まりを作って数えるよさに気付く声が聞こえてきました。
1000文字ずつの固まりに印を付けていきます。しばらくすると,「1000の固まりが7個だ」「えっ,10個だよ」と声があがります。同じ文字を数えているのに,ズレが生まれてきました。
文字数が多いため,20行毎に印を入れているつもりなのに,実際は21行や19行で印を入れていたようです。そのズレが,1000の固まりの数のズレになって表れたのです。
再度,1000の固まりの数を調べ直していきます。その結果,固まりの数は10個あることがはっきりとしました。
「1000の固まりが10個でいくつになるのか」
答えは1万(10000)ですが,この数自体は子どもには未習です。そこで,次のように子どもに投げかけます。
「1000の固まりが10個集まった数は,まだ習っていないよね」
すると,素敵な呟きが聞こえてきました。
「1000の前にならった数は,100だったでしょ」
新しい数の表記を考えるために,前の1000を作り出した学習を想起したのです。この想起をきっかけに,次のように声が続いていきます。
「100の前は10を習ったでしょ」
「10の前は1を習った」
「0が1つずつ増えている」
「階段みたいになっている」
「だったら,1000の次も0が1つ増えて10000になる」
「それなら,この後も0が1つずつ増えていくね」
「どんどん0が増えて,大きな数が作れるね」
「千の位の最高は9999。ここに1増えると9が10になる。そうなると位が1つ増えるから,左側に数が増えていく」
1000が10個の表記を,これまでの数の学びの過程から類推していくことができました。さらに,その学びを活かして,10000から先の数の変化も類推していくことができたのです。学びを深める姿が生まれてきました。
1万文字の文字の多さを実感することだけでなく,数の位取りの変化を既習の学びとリンクさせることで発見していくことができた1時間となりました。