3年生「時刻と時間」の一コマです。
大きさの異なる2枚の三角形の折り紙を提示し,
次のように投げかけます。
「速く落ちるのはどちらでしょう」
最初に,黄色い折り紙を落とします。ひらひらと落ちる折り紙を見ながら,子どもたちは自然に「1,2,3,4,5」と数を数えていました。
そこで,「なんで数を数えているの?」と尋ねます。
「もし,緑の折り紙が1,2,3,4だとしたら,緑が速いと分かる」
「数によって,どっちが速いが決まるんだよ」
見えているようで実はよく分からない速さを数値化することで,その比較ができるという声が生まれてきました。数値化のよさに目を付けたすばらしい考え方です。
ところが,この説明に対して,さらに次の声が聞こえてきます。
「ただ数えるだけじゃあだめだよ。黄色と同じ数え方を緑でもしないと正しくないよ」
「黄色は,『いち・にい・さん』だったでしょ。でも,緑を『いーち・にーい・さーん』と数えたら正しく比べられないよ」
「同じリズムで数えないとだめだよね」
「人が数えると,ずれちゃうかもしれないね」
「みんなで手拍子を揃えて数えたらいいね」
単に数値化するだけではなく,いつでも一定のリズムで数を唱えることで正確に比較ができ
るという指摘です。短い時間をなんとか一定の長さで数値化する必要感につながる視点が子ど
もから生まれてきました。この視点が,ここで学習する「秒」の単位へとつながっていきま
す。
子どもたちは,「全員で手拍子の練習をした方がいい」と考えました。一定のリズムを保つ
ためです。そこで,手拍子の練習をします。その後,緑の折り紙を落とします。緑の折り紙は「1,2,3,4,5,6」で落ちました。
この結果,速く落ちたのは「5」対「6」で黄色の折り紙であることが分かりました。
新しい単位「秒」を使うことで,2種類の折り紙の落ちる速さを比較することができた1時間でした。