算数の時間,「一万の位」の読み方を学習した子どもたちに,「人口は何人かな」と投げかけます。
最初に提示したのは長岡京市の人口です。数字で書くと「81065人」となります。この数字の読み方を漢字でノートに書かせました。「八万」までは全員が同じ漢字を書きました。しかし,千の位の「1」の書き方にズレが生まれました。「千」と「一千」です。
そこで「一千」と書いた気持ちを読解させます。
「千が1個だから,一千と書いた」
「一千と読むこともあるよ」
「だったら,千でも一千でもどっちでもいいんじゃないかな」
「一千」でもいいと考える子どもや,「どちらの読み方のある」と考える子どもが増えてきました。すると,ここで「でも」と声があがります。
「でもさあ,10を『一十』とは読まないでしょ。100も『一百』とは読まないから,1000だって『千』でいいんじゃないかなあ」
これまで,10や100を読むときに「一」を接頭語として付けることはありませんでした。これまでの数字の読み方とつなげた考え方が子どもから生まれてきました。
10,100の読み方から,1000も「千」と読む妥当性が見えてきます。このような見方ができる子どもたち,すごいですね。
次に,高槻市の人口「350819人」を提示します。この読み方を,子どもたちは「三十五万八百十九」と表記します。この読み方を考えることをきっかけに,新たな発見が生まれてきました。
「3は一万が10個集まると十万になるから,三十万と読む」
「だったら,一万が100個集まれば百万。1000個集まれば千万だね」
「無限ループになっている」
「一十百千が万でも繰り返すからループだ」
十進位取り記数法の仕組みに気付いた声が生まれてきました。「一十百千」がこの後も永遠に繰り返されそうだという声も生まれてきました。
このように考えると日本の数表記はシンプルに構成されていることが見えてきます。子どもの気付きをきっかけに,数のいろいろな仕組みが見えてきた1時間となりました。