2025年9月29日月曜日

「ふうーん!」

 「今の女子の50m走の記録を表にまとめられるかな?」

このように尋ねます。子どもからは,次の声があがります。

「なんの表?」

「表だったら,前に配られているよ」

「でもさあ,表って同じ数でまとめられているよ」

「でも,前の表はバラバラだよ」

「8.5秒は2人いる。いつもの表ならまとめて書いている」

「前のは速さがバラバラ。普通は速い順になっている」

子どもたちが,既習の表と前時で使った表との違いを指摘してきました。そこで,今まで使ってきた表に,50m走のデータをまとめ直します。

この活動中に聞こえてきたのが「ふうーん!」という声です。この声の意味を読解します。

「面倒だということ」

「人数多くてまとめるの大変」

「小数点のある数が多い」

などの声が聞こえてきました。項目数が多すぎるという声です。そこで,データ数を0.5秒ずつまとめる表があることを教えます。度数分布表です。この表が仕上がると,

「8行しかない」

「簡単だ」

と声が上がります。既習の表と度数分布表の両方を体験することで,後者の表のよさを実感することができました。


2025年9月26日金曜日

女子の体力も低下している?

 「今と昔の女子の50m走るの記録を比べてみよう」

このように投げかけます。前日は男子を比べました。平均では昔が速かったのですが,最速値など別の視点だと今が速いことが見えてきました。

女子のデータを順に提示していきます。カードが貼られるたびに,「あー」「やったー」「やばい」などの声が聞こえてきまます。これらの声があげながらも,子どもたちはデータを分析していきます。

「速いねえ」

「8秒台が多いよ」

「8秒後半が多いんじゃない」

「7秒台もいるよ」

ここまでが今の子どもたちのカードを見た際に生まれてきた声です。

次に,15年前(昔)のデータを提示します。ここでも様々な声が聞こえてきます。

「9秒台だ。よしよし」

「次の11秒台だ。やったー」

「8秒前半が来たー」

「でも,9〜10秒が多いよ」

「今の方が勝ったかなあ」

「平均見ないとわからないよ」

「今は8秒前半が多いから勝ったんじゃない」

「昨日やったドットプロットを使えば,8秒前半が多いか分かるよ」

ドットプロットを使うアイディアが,自然に子どもから生まれてきました。そこで,ドットプロットにそれぞれのデータを位置付けていきます。

作図を終えた子どもからは,次の声が聞こえてきました。

「今は8秒台が多いね」

「昔も8秒台から9秒台が多いよ」

「でも,遅い11秒台を見ると昔の方が多いね」

「今は11秒台は1人でタイムも速い」

「最速も今の方が速いね」

「さっきの集まっているところだけど,よく見ると今は8秒台の前半が多くて,昔は8秒台後半から9秒台が多いから,今の方が速いね」

ドットプロットを見ることで,データを分析的に見る視点が生まれてきました。ドットプロット学習を重ねることで,データの見方もブラッシュアップしてきました。


2025年9月25日木曜日

体力低下は本当ですか?

「今の子どもは昔の子どもよりも体力が落ちていると言われているけど,本当ですか?」
このように尋ねます。
「昔は外で遊んだから,昔の方が体力がある」
「今の方がお母さんに外に出ろと言われるから,今の方が体力がある」

様々な予想が生まれます。
予想にズレが生まれます。そこで,50m走の実際のデータで比べます。今の子ども,15年前の子どもの順に,50m走のデータを提示します。途中から,子どもたちはいろいろなことに気づきはじめます。

「今は7秒台がいるけど,昔はいない」
「昔は遅い人があまりいない」
「人数が今と昔は違う」
「だったら平均で比べたらいい」

今は8人,15年前は15人です。人数が違うため,平均で比べようと考えたのです。計算の結果,今は9.1875秒,昔は8.9秒です。結果は,昔が速いということになります。この結果に残念そうな子どもたちです。「仕方ないかあ・・・」という表情の子どもがいました。
そこで,「では今の子どもの体力が低いということでいいですね?」と投げかけます。すると「でも」という声が聞こえてきました。

「でも,一番速いのは今で7.5秒,昔は8秒だから今が速いよ」
「一番遅い記録も,今は11秒で,昔は11.2秒。だから,今が速いよ」
「でもさあ,8秒台の人を見ると,今は8人で少なくて,昔は15人で多い」

データを見つめる様々な視点が生まれてきました。視点を変えたら,今の子どもが速いと判断することもできます。

さて,それぞれのデータは当初はバラバラに貼っていました。その状況から,「カードを並べた方が分かりやすい」と声があがります。

子どもたちはカードをどんな風に並べようと思っていたのでしょうか。多くの子どもは,速い順にカードを積み上げることを考えました。しかし,それでけではすぐに「8秒台が15人で多い」ということを読み取ることが難しいことが見えてきました。

すると,両手を平行に動かした後,その上に手をさらに左右に動かすジェスチャーをする子どもの姿が見えました。このジェスチャーの意味を読解します。

「定規の目盛りみたいに,線を入れていってその上に印をつける」

数字の並びを横向きにして,そこに同じ秒数を分類していくイメージです。これがドットプロットの原型になりました。この原型で,ノートに作図をしてみます。

横向きの図を見た子どもからは,次の声があがります。
「さっきよりも分かりやすい」
「昔は8〜9秒に集まっている」
「今のは9〜10秒に集まっている」

データの○印の散らばり具合いに違いがあることも見えてきました。

定規の目盛りをヒントに,新たなデータの表現方法が生まれてきた1時間でした。



 

2025年9月24日水曜日

展開図があると分かりやすい!

「立体の表面積を求めよう」
子どもたちに投げかけます。(本校独自の教育課程です)
最初に求めたのは,三角柱です。この問題に取り組んでいる時,展開図をノートに作図する子どもが何にかいました。
「展開図があると考えやすい」
「面積を求めやすい」
このような考えから,展開図を作図したのです。そこで,その後も展開図あると考えやすいのかを実験していきました。
これは錐体になっても同様の考えやすさを子どもたちは実感していました。


 

2025年9月23日火曜日

隙間に何個入る?


「底面が合同で高さが等しい四角柱と四角錐,体積はどれだけ違う?」

子どもたちに投げかけます。錐体の体積は中学数学内容ですが,本校では初等部の教育課程に入っています。

子どもの予想は,「2倍」「1.5倍」「3倍」と分裂します。一つ分の四角錐を四角柱に入れた隙間に,あと何個分の四角錐が入るのかで,子どもたちの予想が分かれました。多くは,あと1つ分入るから2倍の関係という声でした。

一方,隙間をもっと小さく分割していくと,2個分くらい入りそうという声もあがります。空間図形をイメージ化するのは,小学生にはなかなか難しいようです。

その後は,色水を使って実験です。結果は,3倍の関係になります。子どもたちからは驚きの声があがります。多くの子の予想とのズレでした。

愉しい算数授業をつくる研修会開催

 9月27日(土)に大阪府池田市立池田小学校を会場に「愉しい算数授業をつくる研修会」が開催されます。

私は2講座担当します。前半は学級経営の話をします。後半は算数授業創りの話をします。

また,若手の先生からの授業ビデオ提案もあります。こちらも楽しみですね。

お申し込みは以下からお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/12612f0aa53052ecc6ea5ce226780655/









2025年9月19日金曜日

体積いろいろ

 いろいろな形の体積を求めました。富士山型,3段の階段,バームクーヘン型などを求めました。

3段の階段は,様々な求め方がありました。そこで前回同様,式から求め方の図を類推する学習方法で展開していきました。



2025年9月18日木曜日

体積の求め方を読解しよう!

 階段状の立体の体積を求めました。たくさんの求め方が生まれてきました。そこで,式だけを板書してもらい,どのように図形に加えたのかを考えました。式から図を読解していく学習す。この場面は,国語の能力がかなり入ります。

全部で6通りの求め方が生まれてきました。子どものアイディアは柔軟ですね!


2025年9月16日火曜日

体積が大きいのは?

「辺の長さの合計が同じ立体,体積が大きいのはどれでしょう」
この発問だけで,子どもの考えにはズレが生まれます。
「底面が小さくなると,その分高さが高くなるから同じ?」
「三角形は最後に÷2をするから,体積も小さくなる」
「直方体の向きを変えると,高さは全部4㎝。だから体積も同じ?」

さて,考えは分裂したままです。そこで,実際の計算をしていきます。直方体は既習です。式は,「4×2×3=24」となります。ここで,「4×2」の式の意味を尋ねます。
一斉に聞こえてきたのは「底面積」の声です。しかし,「えっ?」という声も聞こえます。その意味は「面積を重ねても平らじゃないかな?」という意味です。

4×2×1が体積の底面積部分の体積になります。高さ1㎝の立方体を並べた体積の数を求めてから、その高さ分だけ掛け算していきます。

このやり方を使えば、三角柱やひし形柱も体積を求めることができます。体積の意味を考えながら1時間進めていきました。

 

2025年9月14日日曜日

熱い先生と学びました!

 昨日は和歌山県田辺市の先生方との研修会に参加しました。3連休初日にも関わらず,多くの先生方が参加されました。

田辺の先生方は,学び方もとても熱心でした。板書写真をもとに語り合う講座では,多くの先生方が自分の意見や思いを語っていました。授業改革にかける熱い思いのある先生方が多くいる田辺市の未来は明るいですね!

田辺氏は弁慶生誕の地と言われているそうです。先生方の熱さは,弁慶のDNAを受け継いでいるのかもしれませんね。



2025年9月13日土曜日

和歌山県田辺市で会いましょう!

 今日は和歌山県田辺市の若手の先生方が企画する研修会に参加します。

田辺市の先生方ややる気満々の方がたくさんいらっしゃいます。やる気のある方々とご一緒すると,こちらまでパワーをもらえますね。今から楽しみです!

2025年9月12日金曜日

世界遺産のある島の面積


 「世界遺産のある島の面積を求めよう」

子どもたちに投げかけます。子どもからは。「佐渡」「屋久島」「奄美大島」「沖縄本島」「父島」と世界遺産のある島の名前があがります。

そこで「屋久島の面積を求めよう」と投げかけ,地図と提示します。地図を見た子どもからは、次の声があがります。

「ほぼ丸」

「どうやって面積出すの?」

「だいたいでいいんじゃない?」

「約でいいよ」

屋久島を子どもたちが求積できるだいたいの図形に置き換えて、面積を求めようというアイディアです。そこで、「どんな形にしようと考えているの?」と尋ねます。

「円でいいんじゃない?」

「台形と三角形でもできるよ」

「菱形でもいいよ」

その後、子どもたちが面積を求めていきます。様々な図形に分割し面積を求めました。縮尺がかなり幅のある数字設定でしたが、実際の面積504.9㎢に近い数値で計算で求められた子どももいました。

その後、奄美大島、父島と順に面積を求めていきました。時間があれば、地図帳から島を選択させて面積と求めようと考えていましたが、時間切れでした。ここまでできると個別最適な授業にもなりますね。

2025年9月4日木曜日

ケーキを食べる

 次の問題を提示します。

「たかし君はケーキが大好きです。たくさん食べたいたかし君は,3種類のケーキのどれを選ぶか迷っています」

板書にあるような3種類のケーキの箱を提示します。すると,子どもの声がつながります。

「たくさんってどういうこと?」

「『たくさん食べたい』と書いてあるから,ケーキの大きさのことでしょ」

「それなら①が大きい」

「同じじゃない?」

「③が大きいよ」

「隙間で考えたら,③は隙間の数が多いからケーキの面積も小さくなる」

「①の隙間は大きくて,③の隙間は小さい」

「③は真ん中の方にも隙間がある」

隙間の視点が生まれてきました。子どもの予想にはズレが生まれました。そこで,計算で面積を求めます。

結果は,いずれも282.6㎠で等しくなりました。たかし君はどのケーキを選んでも,たくさん食べられるのです。この結果から,「箱の大きさが同じなら,同じ面積になる」という事実が見えてきます。

すると,次の声があがります。

「でも,こんな形のケーキになっても面積は同じになるの?」

正方形の1本の対角線上に最大値になる円を2個入れるという考えです。このように作図を行うと,それ以上は同じサイズの円は入る余地はなさそうです。果たして,この場合もケーキの面積は等しくなるのでしょうか?

実際に作図を行い,確かめます。ところが,対角線上に正方形に内接する最大値になる円を作図するのに,かなりの苦労をしました。最終的に半径1.7㎝に円がぴったりと入りそうだということが見えてきました。

この長さで面積を求めると,結果は18.1492㎠となります。先ほどよりも小さくなりました。この事実から,縦横の個数が2乗できる場合のケーキの詰め方の時のみ,面積が等しくなることが見えてきました。



2025年9月1日月曜日

円の面積を求める!

 「円の面積は正十六角形よりも本当に大きいのでしょうか」

前回の続きです。周りの辺の長さ32㎝の図形の面積を考えていました。

まずは,正十六角形の面積を確認します。

(32÷16)×5÷2×16=80(㎠)

すると「16は意味がない」と声があがります。「÷16」と「×16」で相殺するので,この部分の式が省略できるという声です。すると,先ほどの式は次のように変身できます。

32×5÷2

さらに,この式を言葉の式に置き換えると,次のように変わります。

周りの長さ×高さ÷2

この式を見た子どもから,「短縮した」「すっきりした」と声があがります。

次は,円の面積です。「カットして求めたらいい」と声があがります。円の内部をピザのように分割していくアイディアです。このアイディアを巡って声が続きます。

「底辺部分が少しカーブしている」

「小さくしたら,ほぼ直線だよ」

この両者の議論がしばらく続きます。すると「だったら,あれが使える」という声があがります。何かに気づいたのです。「あれ」とはなんでしょうか。

「あれ」とは,先ほどの「周りの長さ×高さ÷2」の言葉の式です。ここに円の条件を当てはめるという考です。「周りの長さ」は「円周」,「高さ」は「半径」に置き換えられます。すると,32×5.1÷2=81.6(㎠)と計算でも求められます。計算上は円の面積が大きいことが見えてきました。

円の求積の場合,先ほどの言葉の式は次のように置き換えられます。

①円周×半径÷2

すると「短くなった」と声が上がります。しかし,「円周って直径×3.14」の声もあがります。この声から式を変形していくと,次のようになります。

直径×3.14×半径÷2=②半径×半径×3.14

シンプルな①②の式で,計算上は面積が求められそうです。しかし,「やっぱり確かめないと分からない」と声が上がります。そこで,円をピザ状に分割して並べ替えることにしました。

結果は,平行四辺形に変身することができました。言葉の式に置き換えると次のようになります。

円周の半分×半径=直径×3.14÷2×半径=半径×半径×3.14

図の並び替えからも,先ほどの同じ式が見えてきました。