2023年6月26日月曜日

小さい方が勝ちゲーム!

 「小さい方が勝ちゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。

ルールは簡単です。2チームの対抗戦です。代表の子どもが袋の中から,計算カードを取り出します。その答えが小さい方が勝ちです。ただし,袋の中に入っているのは「10−」の計算カードです。

1回戦。星チームが10−8のカードを引きます。それと同時に「負ける」という声が相手の月チームから聞こえてきました。このような反応が聞こえてくるのはいいですねえ。

そこで,この声を取り上げ「『負ける』と言っている人がいるけど,気持ちは分かる?」と,全体で共有していきます。

「10−9なら勝てるけど」

「でも,10−7だと負ける」

「10ー4も負ける」

「10−1も負ける」

が7〜1だと負ける」

子どもたちは,まだ引かれていないカードを推測し,月チームが勝てる可能性が低いことを説明してきました。しかし,勝負は分かりません。

月チームがカードを引きます。結果は「10−7」なので,予想通り月チームが負けてしまいました。

2回戦は,月チームが先攻です。引かれたのは「10−1」です。この瞬間「負けた」という声が月チームからあがります。この声も共有していきます。

「答えが9だから,これよりも大きい答えが出るはずがない」

「10−0がでるなら勝てるけど・・・」

ここでもカードの構成を考えた声が生まれてきました。

果たして,結果は・・・。星チームが「10−9」を引いたので,星チームの圧勝となりました。子どもたちの予想通りの結果となりました。

ここまで4枚の数字カードが引かれました。これらのカードは,私はランダムにホワイトボードに貼っていました。すると,K子が前に出てきて,ランダムなカードをひく数の大きい順に並べ始めました。

そこで,「なんでK子さんはこんなふうにカードを並べたのかな。気持ちは分かるかな」と尋ねます。

「右が9,8,7となるようにした」

「9,8,7,6,5,4,3,2,1とした」

まだ見えていない引く数が6〜2についても対象範囲を広げて声が聞こえてきました。

その後もゲームを続けていきます。カードを引くたびに,「やっちゃった」「絶対勝った」などの素敵な声が聞こえてきました。このように数に積極的に関わっていく姿はとてもいいですねえ。




2023年6月23日金曜日

袋の中のカードは何枚?

 子どもたちに次のように投げかけます。

「袋の中に残っているカードは何枚ですか」

この問いかけと同時に,「何枚?」「最初は?」という価値ある声が聞こえてきました。

そこで,これらの声を共有していきます。「最初ってどういうこと?」の投げかけに,子どもたちが次のように説明してきます。

「(係活動の)宝探しと同じだ」

「袋に最初に入っている数が分からないと,残ったのが分からない」

「最初の数が分からないと困る」

「宝探し」というのは,係の子どもたちが教室に隠したお宝を探すゲームです。このゲームでは,お宝の数が分からないと終わりが分からないということに子どもたちが気づきました。そこでの見方が,この場面でも生きてきたのです。異種の領域とつなげて見方を活用する子どもたちの考え方に,びっくりです。

袋の中からカードを3枚引き出します。これでは袋の中のカードは分かりません。最初の数が分からないと,残りがやはり見えてきません。そこで,最初の数が8枚であったことを伝えます。

8枚から3枚取り出したので,「8−3」で残りを求められることを説明していきます。

その後,最初の数が分かれば残りの数が分かる考え方の偶然性を尋ねます。驚くことにこの段階で,半数以上の子どもたちがこの考え方を疑っていました。

そこで,最初の袋の数を変更して実験をしていきます。9枚,7枚,10枚と枚数を変えても,同じ方法で残りの枚数を求めることが見えてきました。当初は疑っていた子どもたちも,最後は納得をしていきました。

偶然性という視点から実験を繰り返し,引き算場面を習熟していった1時間でした。



思考力成長の境目

 私が新潟で教員をしていたころ,福島の小松信哉先生から,「演繹的思考力は4年生後半から生まれる」とお聞きしたことがあります。そこで,その真偽を当時の勤務校の先生方にもお願いをして実証実験を行いました。その結果,見えてきたことがあります。それは前述の演繹的思考力の境目が4年生後半にあることだけでなく,演繹的思考を子どもたちがしたくなる瞬間があるということでした。

演繹的思考は,理由を考えていく見方・考え方です。一方,低学年からも見られる帰納的思考・類推的思考は,複数の情報から共通点やきまりを見つけたり,それらが当てはまる対象範囲を子ども自らが拡張して実験ししたりしていこうとする見方・考え方です。必ずしも同一線上にあるとは限りませんが,多くの場合,帰納的思考・類推的思考が発揮された延長線上に演繹的思考が発揮されます。簡単に言えば,きまりを見つけた後に,そのきまりが当てはまる理由が分かるということです。理由が分かる,さらにそれを論理的に説明していくことは,前者のそれとくらべるとかなり高度です。前者は,見えたきまりの事実だけをそのまま表現すればよいだけだからです。

では,演繹的思考が子どもがしたくなる瞬間はいつ訪れるのでしょうか。それは子どもたちが帰納・類推の世界を十分に楽しんだ後に訪れるということです。「Aの場面だけなく,Bの場面でもCの場面でもきまりが当てはまる」と子どもたちが場面を拡張してきまり発見を楽しんだ後,その瞬間は訪れるのです。教師が放っておいても,子どもの方から「理由が分かった」と演繹的思考につながる声が生まれてきます。これはかつての勤務校での実証実験で明確になりました。従って,子どもが帰納・類推の世界を十分に楽しんでいない段階で,「理由を説明してください」と教師が問いかけてもうまくいかないことが多々あるのはこのためです。

実は,国語の世界でも論理的思考力の境目は4年生後半にあるそうです。これは先日,本校の国語のカリスマ教師と話をしていて分かったことです。

思考力の境目は,教科の壁を越えて同じような時期に訪れるのですね。この境目を意識した指導が必要ですね。

2023年6月22日木曜日

夏の淡路島研修会申し込み,お急ぎ下さい!

夏休み7月30日(日)に兵庫県淡路市まで公開授業と講演を行います。今回は,淡路島の子どもたちとの公開授業を行うことが最大のポイントです。子どもたちは複数学年で構成されます。こんな経験は,かつて複式学級を担任して以来ですねえ。どうなるかなあ・・・。

夏の淡路島観光のついでに算数研修はいかがですか?

詳細,申し込みは以下をご覧下さい。

日 時 令和5年7月30日(日)13時30分〜16時30分 


会 場 セミナー会場 洲本市民交流センター 

    〒656-0054 兵庫県洲本市宇原1788-1 AB会議室 

 

参加費  3000円

2023年6月20日火曜日

逆からたしたら全部5!

 子どもたちに,「どんな式になるかな」と言って,風船の動画を提示します。

1問目は,5個あった風船が飛んでいく動画です。この場合は,「5−1=4」という式ができます。

その後も同様にして絵(動画)と式をつなげていきます。

2問目 5−2=3

3問目 5−1=4

3つの式が生まれたところで,子どもたちから気付きの声がいくつかあがります。その中の一つが「反対になっている」という声でした。この声の意味を読解していきます。

「5−1=4なら,答えの4と1をたすと,最初の5になる」

ひき算のたしかめ算の見方が生まれてきました。よい気付きです。

そこで私が,「本当だね。でも,それはたまたまでしょ」と投げかけます。すると子どもたちがホワイトボードに押し寄せ,「他の式もそうなっている」と言いながら前述のきまりが当てはまる式を指さします。

1問目「5−1=4」,2問目「5−2=3」も,同様のきまりが当てはまります。先ほどの子どもたちは、対象場面をホワイトボード全体に拡張して,きまりの一般性を説明しようとしていたのです。

するとここで,よい気付きの声があがってきます。

「逆からたしたら,全部5だ」

3つの対象となる式の共通点を見いだしたのです。1年生でもここまで気づけることに感心しました。この気付きをもとに,さらに次のように投げかけます。

「そうか,このきまりは式の最初が5のときだけのたまたまなんだね」

この投げかけに,「違う」という声が一斉にあがります。しかし,その具体例を語る声は僅かしか聞こえてはきませんでした。この場面が,1年生の難しいところでもあります。

ここで1人の子を指名します。彼は,「6−2=4」の式を板書します。この問題にも先ほどのきまりが当てはまります。子どもたちからは,これをきっかけに「他にもある」という声があがってきました。

そこで,今度はノートに自分の好きな式を2つ書いて,確かめ算のきまりが成立するのかを実験することにしました。これだけで,60本以上の式のデータが揃います。そこで例外がなければ,子どもが見つけたきまりには一般性があると言えそうだと証明ができます。

その後,子どもたちはノートに式を書いて実験します。どの子どもたちからも,「やっぱりだ」「なった」と喜びの声が聞こえてきました。この場面は,一人一人が課題を設定して個人学習を展開する個別最適化にも該当する部分です。

ひき算の式作りを通して,きまり発見やその一般性を確かめる過程を学んだ1時間でした。




2023年6月19日月曜日

違うお話はどれかな?

 子どもたちに「違うお話はどでしょう」と投げかけます。最初に提示したのは,右の動画です。続きはまだありますが,この最初の画面で子どもが動き出します。

「これは増えるお話だ」

「だって,大きい入れ物に金魚がいる。前のたし算に似ている」

「でも,合わせるお話とは違うよ。だって最初に水槽に金魚が入っているから」

「だから合わせるじゃなくて,増えるお話だね」

合併と増加のたし算の違いを,ジェスチャー表現を使いながら説明を進めていきました。既習を関連付けるよき見方が生まれてきました。

その後,動画の続きを提示します。右の画像です。

「やっぱり」

「増えるお話だ」

子どもたちは,前述の話からつなげて説明を進めていきました。

2つ目の動画を提示します。この動画もイチゴが増える話でした。「最後の絵を見せるよ」という私の言葉で,「だったら次が違うお話だ」と子どもたちが声をあげます。違うお話を探すことが,当初の問題です。ここまで2問は「増える」タイプでした。そうなれば,次が異なるタイプになるはずです。子どもたちは,この場面でも論理的に考えを進めてきました。

 3問目の動画は,木に止まっていた5羽の鳥のうち,2羽が飛んでいく内容です。動画を見た子どもたちが話をします。

「ほら,やっぱり」

「減ったよ」

「最初に5羽いました。そして2羽飛んでいきました。3羽になりましただね」

これらの説明と同時に,子どもたちが頭上に両手をあげ,その後片方の手だけを下に下げるジェスチャー表現をしていました。しかも動かない手は3本指,動いた手は2本指を立てています。鳥の数と動きを手で表現しているのです。

「この前の反対だ」

「ワニの動きの反対だ」

増える学習では,その増加の動きをワニの口のようにジェスチャー表現を行いました。今回はそれとは真逆の動きになることを,子どもたちはジェスチャー表現を行いながら説明していきました。たし算もひき算も,ジェスチャー表現を使うことでその意味をよりよく理解を深めていくことができます。

授業はその後,ひき算の言葉や式を教え,他の絵でもひき算を使うことができるのかを考えました。右の「5-2」になる問題場面では,子どもたちの次の声があがります。

「あれ,また5-2だ」

「さっきの鳥も5-2だった」

式が3問目と同じになることに気付いたのです。そこで,「式は5-2しかないんだね」と私が投げかけます。すると,ここでさらに話し合いが続きます。

「式はもっとあるよ」

「だってたし算だって,たくさん式があったよ」

「だからひき算も式はたくさんあるよ」

「でも,5+6はできても5-6はできないから,ひき算はそんなに多くはないよ」

「たし算の半分くらいかな?」

ひかれる数とひく数の大小関係への気付きから,ひき算の総数がたし算よりも少なくなりそうだと推測する声まで生まれてきました。これには私もびっくりしました。1年生でも,ここまで考えられるのですねえ。

本実践は,東洋館出版社「板書シリーズ1年上」を参考にしています。






2023年6月17日土曜日

完全復活,全国算数授業研究大会開催!

 8月5日(土)~6日(日)に筑波大附属小学校を会場に,全国算数授業研究大会が対面開催されます。

会場に子どもたちを集めた公開授業も復活します。また,ワークショップやお悩み相談も復活です。すでに,申し込みが始まっています。以下のアドレスからお申し込み下さい。

https://www.kokuchpro.com/event/575ef7bb1f5a4caeef58c1d24ef66fc5/

久しぶりの対面開催です。熱い算数授業談義が復活です。夏の筑波でお会いしましょう!