2022年5月12日木曜日

気持ちを考える

 ちょこっとした時間に,次の問題を提示しました。

「3×(12−X)=12 先ずは何をしますか?」

このタープの問題は,これまでにも取り組んできました。しかし,間違えの多かった問題です。先の投げかけに対して,素敵な説明があがります。

「前のKさんの考えと同じように,12−Xをだと考えます。そうすると,3×=12となります」

前の学習で生まれてきた( )をひとまとめにしてに置き換える考えを,この場面でも活用する説明でした。素晴らしい見方・考え方です。

この方法で計算すると,「12−X=4」となります。ここで,次のように投げかけます。

「X=16と計算した人がいます。気持ちは分かるかな?」

実は,このような間違いがこれまでに一定数いました。Xに「−」がついていると,間違えが増えるのです。

そこで,その気持ちを敢えて読解させることにしたのです。

「12+Xと考えた」

「X−12=4だったら,X=4+12でいい。たしざんになる」

「でも,12−X=4だからX=12−4で計算する」

子どもの様子を見ていると,ここまでの理解はまだ形式的な理解でないかと考えました。そこで,次のように投げかけます。

「みんなはXに『−』が付くと苦手なんだよね。12−X=4のXの『−』を消せたらいいんだよね」

すぐに聞こえてきたのは,「=の左のXを=の右に移す」という声でした。数学の移項の形式的な説明です。これでは,十分に理解しているとは言えません。しばらくすると,次の声が聞こえてきました。

「=の右と左は同じにならないといけない。シーソーみたい。だから,=の右に+Xをするなら,=の左にも+Xをしないと=の両側が同じにならない」

シーソーに例えたことで,+Xを=の左右に書く意味が理解されました。「そういうことか」と納得の声が聞こえてきました。

「12−X+X=4+X」

「12=4+X」

このようになり,苦手なXの「−」が消えていきます。子どもがイメージしやすいものに置き換えて説明するパワーを実感した瞬間でした。