2022年5月19日木曜日

論理で壁を乗り越える

 分数×整数の学習を終えた子どもたちに,次の問題を出します。

「2分で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。1分では何L作ることができますか」

子どもたちは,4ます関係表で式を確定していきました。式は「4/5÷2」となります。そこで,「この計算は,どうやったらいいかなあ」

と投げかけます。すると,子どもから「かけ算のやり方でできる」という呟きが聞こえてきました。そこで,この声を共有していきます。

「『かけ算のやり方でできる』とは,どうことか気持ちは分かるかな」

ここで,すばらしい説明が生まれてきました。

「この前のかけ算では,4/5×2だったら,(4×2)/5と分子を計算しました。だから,わり算も分子だけ4÷2と計算すればいいということです」

具体的なかけ算の式を例示したことで,子どもたちが一気にその意味を理解することができました。

分子だけをわり算すると,答えは2/5Lとなります。しかし,この答えは本当に正しいのでしょうか。そこで,図で確認をします。

すると,2/5Lになることが分かりました。つまり,分子を計算すれば,分数÷整数の計算もできるということになります。

ところがここで,「中途半端な数ならどうするの」「割れなかったら?」と声があがってきます。分子がわきりれないと,今回の計算方法は使えないという限界を指摘する声です。鋭い指摘です。

そこで,具体的問題場面で考えることにしました。

「3分で4/5Lのジュースを作ります。1分では何L作れますか」

式は「4/5÷3」です。先ほどと同じように計算すると,分子は「4÷3=1.333・・・」となりわりきれません。やはり,この方法は限界があるのでしょうか。

すると,「だったら通分したらいいんじゃない?」という声が聞こえてきました。今度は,この声を読解していきます。

「4/5を変えればいい」

「3をかければいい」

「(4×3)/(5×3)ならわれる」

4/5の分母・分子に3をかけて12/15に変身させます。この分数なら,分子を3でわることができます。「12/15÷3=4/15」でうまく分子をわりきることができました。しかし,これはあくまでも計算上です。正しいかどうかは,図で確認します。

その結果,図でも4/15Lになることが見えてきました。すなわち,分子が割れない場合は,わられる数を倍分(子どもは通分と言っていましたが)することで計算を進めていくことができるのです。

これまでに子どもたちが学習してきた学びを論理的に組み立てていくことで,目の前の壁を乗り越えていくことができたのです。