2023年1月18日水曜日

長方形でもきまりは使えるのだろうか?

 正方形の最短ルートを探る学習を,前時に行いました。その学習では,上方向のルート数を2倍すれば,横方向に進むルート数を調べる手間が省略できることを見つけました。さらに,曲がり角毎に,最短ルートを分類すると分かりやすくなることも見つけることができました。

本時は,この学習を基に次のように子どもたちに投げかけます。

「長方形になっても,上×2のきまりや曲がり角の考えは使えるのかな?」

この発問には,2つの声が生まれてきました。

「長方形は縦と横の長さが違うから,2倍にする考えは使えない」

「曲がり角で分けるのは,長方形でも使える」

さて,子どもたちの予想は正しいのでしょうか。縦2ます・横3ますの長方形で実験します。先ずは,上方向だけを書き出していきます。今回は交差点に記号を付け,その交差点の記号を使って最短ルートを書き出すことにしました。

上方向は4通りありました。さて,代表の子どもに4通りのルートを板書してもらいました。この板書を見ると,何かを意識して書き出したことが分かります。その思いを読解しました。

「アを全部揃えて,次にエを揃えて,最後にオとキを揃えた」

「同じものを揃えると,分かりやすくなる」

曲がり角毎に分類するだけでなく,このように整理して書き出すことで,落ちやだぶりがないようにできることが見えてきました。

さて,前時と同じきまりなら,最短ルートの総数は上方向の2倍なので,4×2で8通りとなります。子どもたちは「絶対に8通りではない」と自信満々でしたが,それは本当でしょうか。横方向の最短ルートを書き出します。

実験結果は6通りでした。正方形で使えた2倍方式は使えないことが見えてきました。長方形の最短ルートは,10通りでした。

さて,正方形のきまりが使えないことが分かった子どもから,新しい発見の声が生まれてきます。

「今の長方形の辺の比は,2:3でした。縦と横の最短ルート数の比も,4:6なので2:3になるから,辺と最短ルートの比は同じ。正方形も,辺と最短ルートの比が1:1で同じになっている」

おもしろい声が生まれてきました。辺と最短ルートの縦・横比が等しくなるのではないかという考えです。これが正しいとしたら,縦2ます・横4ますの長方形の場合,横方向の最短ルート数は,縦方向の最短ルート数の2倍になるはずです。

さて,この新しい発見は正しいのでしょうか。前述の長方形で実験を行います。その結果,上方向は5通りありました。先ほどのきまりを使えば,横方向はその2倍の10通りあることになります。

横方向を実験します。結果は,本当に10通りになりました。子どもたちから新しく生まれた比を使う考え方は,正しいと言えそうです。

きまりの一般性を探る活動が,新たな問いやきまりを発見していくことにつながった1時間でした。