2023年1月3日火曜日

田中耕一氏から学ぶ

 2002年にノーベル化学賞を受賞された田中耕一氏のインタビュー記事が,京都新聞に掲載されていました。その中で,心に残った言葉がいくつかあります。

「私を成功者だと思ってほしくありません。実に多くの失敗を重ね,発想を転換してここまで来たのです。裏返せば,見方を変えれば道は開けるということです。(中略)立ち止まって視点や考えを切り替えてみると,いろんな道があることに気付くと思います」

田中氏の指摘は,授業展開にも当てはまります。教師の想定外の反応が生まれたとき,失敗したと感じるかもしれません。しかし,そこで発想を転換することが大切なのです。子ども目線に視点を切り替えたら,子どもが本当にやりたことが見えてきます。そして,そこから新しい授業展開の道が開けるのです。

「企業の研究者がなぜ(ノーベル賞を)受賞できたのか。私自身,社外の研究者と交わり,異分野の融合によって新たな発見ができました」

「私も多くの研究者と接し,新しい着想を得てきました。交流がなければノーベル賞につながらなかったでしょう。ヒューマンネットワークはすごく大切です。新型コロナで会議や学会はリモートでも参加できるようになりましたが,対面の機会が減ったのは大きな損失です」

「人とじかに話し合って下さい。生身での雑談がサイエンスには必要です。(中略)こんな時期だからこそ,ヒューマンネットワークを強く意識してほしいと思います」

オンラインで遠くの人と交流することには,時空を超えた大きなメリットがあることは確かです。しかし,田中氏は対面でこそ行われる雑談を含めた交流に大きな意味があると強調されています。確かに,オンラインでは必要最低限の情報交換しかできない場合が多いのが事実です。これは授業も同じですね。オンラインでも授業は可能ですが,子どもが何に問いを感じているのか,何に困っているのを見取ることは,やはり対面でないとうまくできません。

また,教師同士の交流も顔を合わせることで様々な発見があります。さらに,異分野の人との交流も大切ですね。これは本当に大きな学びがあります。この冬,私は小説家の方と交流しました。発想が全く違いますねえ!

2023年は,昨年以上に顔を合わせた交流ができるといいですね。