「何が見えるかな」と言って,ある図形(正八角形)を瞬間的に提示します。子どもから聞こえてきたのは,次の声です。
「八角形」
「五角形じゃない?」
「六角形?」
「正三角形も見えたよ」
「二等辺三角形じゃない?」
いろいろなものが,瞬間的に見えたようです。しかし,見ていなかった子どももいました。そこで,再度,その図形を提示します。ところが子どもたちから次の声があがります。
「さっきとちがう」
「さっきは,全部同じだった」
「今のは違う」
子どもたちは,最初の図形と次の図形が異なることに気づきました。その違いを,「全部同じだった」という言葉で表現してきました。敢えて別の図形を提示したのは,当たり前すぎる正八角形の特徴を,異質な図形と比較させることで言語化させようと考えたからです。
そこで,「何が同じなの?」と尋ねます。
「角度」
「中の角度」
「外側の角度も同じだよ」
「辺の長さも同じだよ」
「三角形の高さも同じだよ」
同じに見える部分が4カ所ありそうだという声があがってきました。そこで,実際の図形を手元に置いて調べることにしました。
その結果,4カ所全ての大きさが同じであることが分かりました。すると,次の声があがります。
「八角形だ」
「正八角形だよ」
「だって,正三角形,正方形があったから」
「正三角形も辺と角度が同じ」
「正方形も辺と角度が同じだったから,これもみんな同じだから正が付く」
正八角形と命名できる理由も,子どもの中から生まれてきました。
正多角形の図形の構成要素に子ども自身が目を向けたくなる展開を行ってみました。