2年生の子どもたちに,次の問題を提示します。
「リンゴ狩りに行きました。お父さんは52個とり,花子さんより7個多く取りました。花子さんは,リンゴを何個取りましたか」
問題文を板書している途中から,「テープ図にできるね」「簡単だね」という声が聞こえてきました。前日も文章問題をテープ図に表す学習を行っています。子どもたちも,その延長線上の学習だと考えています。
そこで,問題文に合うテープ図作りに取り組ませることにしました。子どもたちがノートに向かってテープ図を描き始めます。ところが,しばらくすると「あれ?」「おかしい」「できない」「難しい」という声が聞こえてきます。簡単にできると考えていたテープ図ですが,いざ,作成をはじめてみるとうまくできないことが見えてきました。
苦労をしながら,なんとか作りだしたテープ図
は右の通りです。しかし,十分に納得できない表情の子どももいます。
そこで,次のように子どもたちに投げかけます。
「昨日の色紙の問題は,誰の色紙の問題でしたか?」
前日の問題は,つぎのものでした。
「お兄さんから色紙を12枚もらったら,色紙は全部で27枚
になりました。色紙ははじめに何枚ありましたか」
従って,子どもからは「自分」「わたし」と声があがります。
さらに,次の問いかけを行います。
「昨日の2番目の問題は,誰が空き缶を拾った問題でしたか?」
この問題はつぎのものでした。
「空き缶を昨日34個拾いました。今日,何個か拾ったら
全部で43個になりました。今日,何個拾いましたか」
この問題も,「自分」「わたし」と声があがります。
するとここで,子どもたちから声があがります。
「全部1人だ」
「でも,今日の問題は2人だ」
「お父さんと花子さんの2人だから難しいんだ」
テープ図を作ることに難しさを感じた原因が,テープ図に表す人数にあることへの気付きが生まれてきました。この声をきっかけに,それまでのテープ図の描き方を見直す声があがってきます。
「だったら,2人を別々にしたらいいよ」
「そうしたらわかりやすくなるかも」
テープ図を2段にする方法は,私から提示します。
「これなら簡単」「わかりやすい」と声が聞こえてきました。2本のテープ図を子どもが使いたくなる場面設定を行うことで,その必要性を実感することができた授業となりました。