2020年9月29日火曜日

式が2つ見える!

 

かけ算の学習2時間目です。

子どもたちに「かけ算の式を絵でかけるかな?」と投げかけます。


1問目は3×2の式を絵で表現します。この場面を,子どもたちは


右のように表しました。「○を区切る線があると,式が分かりやすくなる」ことに気付きました。 

 


 2問目の式は,5×2。3問目の式は2×5です。いずれも,左のような図で式を表すことができます。


 これら2つの式を図で表した後,子どもの中から「おもしろいことがある」と声があがりました。子どもが見つけたおもしろいこととは何でしょうか?


「横で見ると5×2に見えて,縦で見ると2×5に見える」

 


縦2列,横5列の○だと考え,そこに区切り線を入れなければ,○の図から2種類の式が見えてくるという指摘です。

この説明を聞いた子どもから,「本当だ」「おもしろい」と声があがります。このおもしろさの発見から,「○の図は切り方で式が変わる」ということが見えてきます。


ところが,この発見に対して「それは,たまたまかもしれない」という声が聞こえてきます。


まだ,実験したのは1事例です。1事例だけの結果から,結論を導き出すのは早急過ぎるという見方です。このような見方ができることは,理数教育では大切な視点です。


すると,今度は次の声が聞こえてきます。


「あれ,①も同じになっているよ」

 別の場面に対象を拡大して考えたのです。①の問題も,右図のように区切り線の入れ方を変えると,3×2と2×3の2つの式が見えてきます。先ほどの発見が,別の図でも確かめられました。

 


 子どもの追究はここでは終わりません。「別の図で確かめました」という声が聞こえてきます。右のような縦3列・横4列の図で実験をしている子どもがいました。この図から,どんな式が見えるかを全員で考えます。


 4×3,3×4,6×2,2×6,1×12と5つの式がこの時間に見つかりました。「もっと式がある」という声も聞こえてきましたが,残念ながら時間切れとなりました。


 同じ図から複数の式が見えるおもしろさを実感した1時間となりました。


※本実践の前半部分は,東洋館出版社「板書シリーズ算数小学校2年下巻」山本良和先生の実践を追試しています。