2020年9月28日月曜日

何個あるでしょう? かけ算の導入

 

























 2年「かけ算」の導入場面です。子どもたちに,次のように投げかけます。

「何個あるでしょう」

1問目は,お皿にハンバーガーが5個の載った画像を数枚見せます。子どもの予想は
30個,25個,45個,35個に分かれます。同じ画像を見ていたはずなのに,バラバラの数になります。そこで,バラバラの数になった理由を尋ねます。

1つのお皿にハンバーガーが5個載っていた。そのハンバーガーセットが何個かわからない」

 同じ数のハンバーガーが全てのお皿に載っていたことは認識できました。しかし,お皿の数にズレが生まれたことが予想のズレの原因でした。そこで,お皿の数を確認します。お皿は6枚でした。「式に書ける」という子どもがいたので,見えた場面を式に表します。

5+5+5+5+5+5=30個」


 次に見せたは,イチゴの画像です。1枚のお皿にイチゴが6個載っています。そのお皿が4枚ある画像です。これも式に表現します。「6+6+6+6=24個」と書けます。



 3つ目の問題は,左の飴の画像です。お皿が7枚連続します。その中の6枚のお皿には飴が5個ずつ載っています。しか
し,1皿だけ飴の数が4個の皿を混ぜます。同数累加ができない場面を意図的に混ぜたのです。

 この画像を見た子どもから,次の声があがります。

「さっきまでの問題は,ずっと同じ数で簡単だった。でも,今度の問題は違う数が混じっているから難しい」


 1・2問目と3問目の問題の違いを的確に指摘することができました。問題のパターンは違いますが,この問題場面も式表現することはできます。

「5+5+5+5+4+5+5=34個」

 


4問目は,1枚のお皿に栗が3個ずつ載った絵です。そのお皿の数は18枚あります。「うわー」という声が子どもからあがります。栗の多さに驚いた声です。

 この問題も,式に書くことはできます。そこで,式のノートに書かせていきます。すると,ノートに式を書く中で次の声が聞こえてきます。

「3がいっぱい」

「式が長い」

「頭がぐちゃぐちゃ」・・・

悲鳴に近い声が聞こえてきました。

栗の数を式にすると,「3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3+3=54個」となります。式が書けたところで,先ほどの悲鳴の原因を尋ねます。


「3を18個も書くのが面倒」

「式の見直しをするのが大変」


 同数累加の式が長くなると,書くこと自体に大変さがあることを子どもたちは実感することができました。子どもたちが,同数累加の式表記に大変さを感じた場面で,かけ算表記を教えます。この問題場面をかけ算表記にすると,「3×18」と一気に短くなります。

 このかけ算表記を使えば,12問目の式もかけ算に直すことができます。一方,3問目の問題は,同数累加の式だけで表すことはできません。従って,子どもたちも「3問目は違う数が混じっているからかけ算にはできない」と考えました。


 最後に,「これはかけ算にできるかな?」と言って,


右のパンの絵を見せます。

 「できない」「同じ数じゃないよ」と当初は声があがります。ところが,「できるよ」という声が聞こえてきます。


1個のパンを2個のお皿にお引っ越しすればかけ算にできる」


 画像をそのまま見たらかけ算場面には見せません。ところが,1個と2個パンを合わせることで,かけ算場面へと変換することができるのです。引っ越しでかけ算を創り出そうとする子どもたちの主体的で柔軟な発想はすばらしいですね