次の問題を投げかけます。
「プシパンとイマザキパンがあります。プシパンは日曜日は全品2割引,イマザキパンは日曜は400円以上買うと100円引きです。どっちで買いますか?」
問題に出合った子どもから聞こえてきたのは,「もとの値段は」という声と,「?」いっぱいの表情でした。条件不足の問題文なので,このままでは解くことはできません。それが先の声や表情が生まれた要因です。
すると,次の声が聞こえてきました。
「例えば400円だと考える。プシパンは2割引きだから320円。イマザキパンは100円引きだから300円」
400円という具体的なパンの値段が例示されことで,子どもたちも問題場面のイメージができました。そこで,「イマザキパンで買ったら得だね」と子どもたちに投げかけます。多くの子どもは,納得の表情です。ところが,「でも」と声があがります。その続きを聞いていきます。
「もし1000円買うと,プシパンは800円でイマザキパンは900円だから,プシパンがお得になる」
「真ん中で引き分けになるってこと?」
「500円なら引き分けかな?」
「500円なら,プシパン400円でイマザキパンも400円で引き分けだ」
「500円から上ならプシパン,500円より下ならイマザキパンがお得だ」
「待って,300円だとプシパンは240円になるけど,イマザキパンは400円超えないと100円引きじゃないから300円のままだよ」
「400円より下ならプシパンだね」
400円という例示の数値が生まれてきたことで,子どもたちの発想が一気に広がっていきました。例示ができる力を鍛えることは,問題解決をスムーズに進める上でも大切な見方の一つですね。