2024年2月15日木曜日

反対シリーズを探る

前回の授業で,12個のりんごを人で分ける問題に取り組みました。そのときに生まれてきたのが,「反対になる」組み合わせがあるという発見でした。「2人に6個」ずつ分けるパターンと,「6人の2個」ずつ分けるパターンの数字の組み合わせが反対になっているという発見です。

この気付きを,本時でさらに膨らませてみることにしました。子どもたちに「りんごの数が変わっても,反対シリーズはあるのかな」と投げかけます。子どもからは,次の声が聞こえてきました。

「反対がないのもある」

「どんな数でもいいんじゃない」

「15個は無理かなあ・・・」

「16はできるかなあ・・・」

「16はできないよ」

これらのやりとりの中で,「15」はできないという声が多くを占めました。すると,「15ができない理由が分かった」と声があがります。

「だって,昨日は5人では分けられなかった。だから15も5がつくからできないんだよ」

「一の位に5がつくとできないんだよ」

前日の学習で,12個のりんごを5人で分ける実験を行いました。この場合は,うまく分けられませんでした。この結果を基にして,15個は分けられないとその根拠を考えたのです。1年生にしては,目を見張る論理構成です。この考え方の登場で,多くの子どもは15個に反対シリーズはできないと考え始めました。

そこで,15個のリンゴを3人で分ける場合を実験します。結果は,1人に5個ずつ配れることが分かります。すると,またまた素敵な声が聞こえてきました。

「反対があるなら,5人で3個になるはずだ」

反対シリーズの存在を確かめるためには,この仮定の考え方なら一気に実験ができます。そこで,5人で分ける場合を実験します。結果は,1人に3個ずつ分けられました。つまり,15個のりんごでも,反対シリーズは存在することが確かめられました。

この結果を見た子どもたちから,今度は次の声が挙がります。

「でも,16個は無理だよ。1人増えるから,うまく分けられないんじゃないかな」

「そうかなあ,できるよ」

りんごの個数を拡張した声が生まれてきました。子どもの予想は,半信半疑です。そこで,2人で分ける場合を実験します。結果は,2人では8個ずつ配れることが分かります。すると,「だったら,反対は8人で2個になる」と声があがります。そこで,8人で分ける場合を考えます。結果は,8人では1人分が2個ずつ配れることが見えてきました。つまり,16個のりんごの場合にも反対シリーズができることが見えてきました。

このあと,次の声が聞こえてきました。

「20までなら,全部反対シリーズはできるんじゃないかな」

「そうかなあ。7はできないんじゃないかな」

場面をどんどん拡張していく声です。反対シリーズの存在を確かめるという目的意識を持たせることで,子どもたちの追求は続いていきました。