子どもたちに「りんごが何個かあります。みかんはりんごより5個多い8個です。りんごは何個ありますか」と問題を提示します。この問題を見た子どもから,次の声が聞こえてきます。
「前は『りんごが3個あります』だった。でも今日は,何個か分からない」
「分からないからできないんじゃないかな」
「今までの問題と違うよ」
「図をかけば分かるよ」
「『多いが8個』ってなに?」
問題文に未知の部分があるため,子どもたちの頭には?マークが浮かんでいます。
ここまでの段階で,自分の考えをノートのまとめさせました。式を描く子ども,図を描く子どもがいました。ほとんどの子どもたちは,「3個」「8−5」と描いていました。一方,「8+5」の式も見られました。
そこで,「8+5」の式の意味を読解します。
「『おおい』と問題にあるからたしざんにした」
「前に『みかんはりんごより5個多い』と『多い」でも引き算があったから,引き算もある」
「『鳩が9羽,雀が16羽,どちらが何羽多いですか』の問題では,『おおい』ってあるけどひきざんだったよ。だからたしざんとは言えない」
一部の子どもたちの頭が,混乱状態になってきました。「どっちなの?」という「?」が頭に充満しています。この後も,「ひきざんだ」と考える子どもの説明が続きます。
「りんごから見たら,5個少ない。みかんから見たら,5個多い」
視点を変える説明でしたが,かえって「?」が増えてしまいました。ここで生まれてたのが「図を描いたらいいんじゃない」の声でした。
そこで,図で問題場面を確認します。その結果,多いのはみかんの数。りんごは,みかんよりも5個少なくなっているという図の構造が見えてきました。図が見えると,式も見えてきます。「りんごは,みかんより5個少ない」図のなので,式は「8−5」と確定します。
混乱の中から,図の有用性を実感できた時間となりました。