2025年2月28日金曜日

トイレットペーパーの芯のくるくるの長さ?

「トイレットペーパーの芯のくるくるの長さは何㎝ですか」
このように子どもたちに尋ねます。この問題文から,「円周が分かればできる?」と声があがりました。芯の直径は9㎝です。計算すると,円周の長さは28.62㎝になります。そこで,次のように投げかけます。
「くるくるは28.62㎝でいいですね?」
すると,次の声があがります。
「違うよ。くるくるは3周しているからもっと長いよ」
「3周? 4周でしょ」
「えっ? 3.5周だよ」
くるくるが円柱の周りを何周しているのを巡ってズレが生まれます。このズレはなかなか埋まりせん。そこで,トイレットペーパーの芯の模型を2人に1つ配布します。子どもたちは芯を手に取りながら,くるくるの点線が何周しているのかを確かめます。ところが,手にしているのにも関わらず,ズレがうまりません。しばらく様々なやりとりがあり,最終的に3周していることが確かめられました。

くるくるが3周ということは,先ほどの円周の長さを3倍します。その長さは85.86㎝になります。「くるくるは85.86㎝ということだね」と投げかけます。すると,次の声があがります。
「もっと長いよ」
「えっ,短いでしょ」
「同じだよ」
ここでもズレが生まれてきました。最終的に,斜めの線と真横の線を実際に描くことで,斜めのくるくるの方が長くなりそうだということが見えてきました。

この後は,実際に側面を芯と同じサイズに作図し,くるくるの斜め線を3本記入します。その長さを測定することで,くるくるの長さを推測することができます。
結果は88.5㎝前後の実測値が多くを占めました。この長さは,芯の円周の長さ3倍より長くなりました。

最後は,実際に芯をくるくるの線に沿って切り取ります。すると横長の平行四辺形が生まれてきます。この形の底辺部分の長さが,くるくるの部分に当たります。その長さを測定すると,計算結果とほぼ同じか,やや長い結果となりました。

推測と実際の図形を使った確かめを往還しながら,くるくるの長さを見つけていった時間となりました。

 

2025年2月27日木曜日

四角柱の展開図は?

 四角柱の展開図探しの続きです。前回は9種類の展開図を見つけました。しかし,子どもたちは「もっとある」と考えています。さらに,三角柱の展開図が9種類だったことから,四角柱は4×3=12種類か4×4=16種類と予想をしました。果たして子どもたちの予想は合っているのでしょうか。

ノートに展開図を作図していきます。できた展開図を板書します。「裏返す」「回す」シリーズは同じ種類と考えます。この視点から同じだった板書がいくつかありました。

板書の途中で子どもたちが予想した12種類,16種類を超えていきました。すると,子どもからは,「四角柱だから4の倍数になる」と声があがります。28種類まで見つかると,「4の倍数になった」と喜びの声があがります。ところが,「まだあります」の声があがり,最終的に30種類まで見つかりました。4の倍数ではありませんが,偶数種類になったことに「すっきりする」「奇数だとイヤだね」と声があがりました。面の数が偶数枚なので,展開図の総数も偶数になるだろうという結果に納得をした子どもたちでした。




2025年2月26日水曜日

三角柱から四角柱へ

 前回の授業の続きです。三角柱の展開図探しを進めました。最終的に,9種類(裏返しを別々とカウントすると15種類)の展開図が見つかりました。

この結果を見た子どもから,次の声があがります。

「9だから3×3だ」

「側面の数×底面の辺の数だ」

「№132の勉強と似ている。三角柱の辺の数は3×3で四角柱は4×4だった」

「だったら四角柱は4×4で16種類」

「でも,№132と同じなら4×3で12種類」

三角柱の展開図の種類数が明らかとなることで,そこに意味を見出そうとする子どもの姿が現れてきました。素晴らしい見方・考え方です。

そこで,本当の展開図の種類数はいくつなのか実験します。今回は種類数が莫大になる可能性もあるので,裏返しシリーズも同じ形と捉えることにしました。

先ずは簡単にイメージできる側面4枚が横に並ぶシリーズを考えます。こちらは6種類ありました。一方,「まだある!」と声があがります。そこで,その展開図を板書してもらいます。写真にあるように3種類の展開図が生まれてきましたが,「もっとある」「めっちゃある」との声があがります。この日はここで時間切れとなりましたが,子どもの展開図探しの意欲はまだまだ燃え上がっています。


2025年2月25日火曜日

裏返しはどうする?

「底面が正三角形の三角柱の展開図を作ろう」と投げかけます。先ずは,1つの展開図を代表の子どもに作ってもらいます。当然ですが,「まだある」「たくさんある」と声があがります。子どもたちは,その数を「5」「7」「9」「10」など様々に予想します。数にズレが生まれてきました。

そこで,展開図は本当は何個あるのかを実験します。子どもたちの実験が始まってしばらくすると,「裏返したのは・・・」と声があがります。
板書左のA・Bの2つの図形を同じと見るか別と見るかが問題となりました。一般的にはこの2つは裏返すと同じ形なので,同じ形とします。しかし,子どもたちの半分はこれを別々にしたいと考えました。この裏返し論争は平行線を辿りました。それぞれに子どもたちのこだわりがありました。

結局は自分が選択した分類のやり方で展開図を作っていくことになりました。前半で時間を使ったため,すべての展開図を見つけることはできませんでした。しかし,前半の子どものこだわりはすごかった!


 

2025年2月24日月曜日

パワーみなぎる関西算数セミナーでした!

 2月の3連休初日は,関西地区の先生方が大活躍する研修会が開催されました。関西算数セミナーです。3人の若手の先生方が模擬授業を進めてくれました。とっても緊張されていましたが,どの授業もよく考えられたよい提案でした。授業者自身は反省があったようですが,この経験値が力のある教師作りに必ず役立ちます。よい経験をされましたね。

あまりの盛り上がりとパワーに,次回の開催日や内容もあっと言う間に決まりました。こちらもやる気のある先生の立候補の声が多数あがりました。詳細は,またお知らせしますね。


2025年2月22日土曜日

今日は関西算数授業セミナーです

本日2月22日(土)は,大阪府高槻市で関西算数授業セミナーを開催します。参加の先生方にお会いできることを楽しみにしています。今日も寒いが続いていますので,お気を付けておいでください。

私は土曜授業日ですので,これが終わってから向かいます!

2025年2月19日水曜日

これではできない!

「全てのパーツをつなげて立体を完成させよう」
このように投げかけて,班に1枚の封筒を渡します。封筒の中には厚紙で作ったパーツが入っています。それらのパーツを全て使います。また,パーツを折ったり切ったりすることはできません。これが条件です。

袋の中からパーツを取り出して作業開始です。ところがしばらくすると,「できない」「たりない」と声があがります。全ての班が「できない」と声をあげています。

各班の「できない」理由を全員で共有していきます。
三角柱のパーツを手にした班は,次のように声をあげます。
「横の長方形が1枚たりない」
「3枚いるのに,2枚しかない」

「横の長方形は3枚あるけど,上と下の面が1枚たりない」
「同じ形が2枚いるんだよ」

四角柱のパーツを手にした班は,次の声をあげます。
「横のパーツが3枚は同じだけど,1枚が細長い」
「これじゃあ隙間があいちゃう」
「同じ大きさの長方形がもう1枚いる」

五角柱のパーツを手にして班は,次の声をあげます。
「上と下のパーツは2枚あるけど,形が違う」
「五角形と六角形になっているから,六角形を五角形に変えないとできない」

また,六角柱のパーツを手にした班は次の声をあげます。
「横の面は6枚あります。でも,上と下の形が違う」
「六角形が2枚あるけど,形が違う」
「同じ形の六角形じゃないとできない」

実は,どの班にも完全にパーツは配布していません。実際に組み立て始めたことで,子どもたちはその不備に気がつきました。自分のイメージとは異なる場面に出合うことで,子どもたちは当たり前に考えていたことを明確に意識して言語化していくのです。
不完全な要素と出合った子どもたちは,この時間を通して角柱に必要な側面や底面の構成要素の条件を見出していくことができました。




 

2025年2月14日金曜日

お得なパークはどちら?

「10回の乗り物チケットの代金が同じ2つの遊園地があります。今日だけ山パーは4回分のチケットがサービスされます。川パーはチケット代金を4割引きにします。どちらがお得ですか」
先ずは直感でお得なパークを判断させます。お得度は同じと考える子どもが多数いました。
「山パーも川パーもどっちも4があるから,お得度は同じだよ」
このように多くの子どもは考えました。

しかし,子どもからは次の声があがってきます。
「代金を知りたい」
「代金は両方同じだよね」
「1000円と2000円だとお得度は違うんじゃない?」
「チケットの回数は山パーが14回で川パーは10回で回数がバラバラ」
「だから1回分を求めたらいい」
「でも,代金が分からない・・・」

はっきりしている点,はっきりしていない点が見えてきました。最大の問題点は,代金が分からない点です。すこで,子どもからは次の声が生まれてきました。

「両方とも1と見たらいいよ」
「?」
「最初の代金は同じだから1と見るんだよ」
「???」

代金が同じなので,それを1と見る考えです。しかし,かなり抽象度がためか,この思いはうまく伝わりません。すると,具体的な代金を「例え」る考えが生まれてきました。やはり具体的な問題場面(代金)がある方が,考えやすいようです。

「割り切れないと面倒だから,14と10の公倍数の代金にしたらいい」
「70円だね」
「でも,代金が安いから700円」
「700円なら山パーの1回当たりの代金は50円」
「川パーは1回当たり42円だから,川パーがお得」

700円という具体的数値設定は比べやすかったようです。しかし,「代金が違ったら,お得な遊園地は違うかもしれない」との声があがります。一般化できるか否かを問うよい声です。

そこで,代金が1000円の場合を実験します。
結果は,山パーが約71円,川パーが60円でした。この結果に「オー」と驚きの声があがります。代金が変わっても,お得度は変わらないことが見えてきました。

ここで,冒頭の2つの遊園地代金を1とする見方に戻ります。
代金を1とみると,山パーは1回当たり約0.071,川パーは0.06になります。この見方でも,お得度は川パーという結果になりました。

未知の代金を,具体的な数値設定で考える方法と,同じ代金だから1と設定する考え方の2つが生まれてきました。多くの子どもは,具体的数値設定が分かりやすかったようです。




 

2025年2月13日木曜日

グラウンドのコース差

「グラウンドに100mのコースを作ります。スタートラインを何mずらしたらいいですか」
このように問題場面を提示します。この問題文からイメージ化できる子どもと,イメージ化ができない子どもがいました。そこで,先ずは場面のイメージ化を行います。
「運動会のレースで外側の人が,少し前から走ったでしょ」
「同じ場所からスタートしたら,内側の人の円周が短いから不公平」

具体的なグラウンドの絵を描くことで,スタートラインをずらす意味が見えてきました。すると,「グラインドの直径が知りたい」と声があがります。そこで,半径が20mのグラウンドの絵を提示します。走路幅は1mです。このデータをもとに,1コース・2コース・3コースと半円部分の長さを求めていきます。
すると,それぞれの長さの差が3.14mずつであることが分かりました。この中途半端な差が生まれたことに子どもたちは驚きます。

しかし,実験したのは半径が20mのグラウンドです。違うサイズのグラウンドでも,スタートラインの差は3.14mなのでしょうか? この問いかけには半信半疑の子どもたちが多くいました。
そこで,半径が10mのウインナー型グラウンドで実験を行います。すると,「あってる!」「すげー!」と驚きの声があがります。すなわちこのグラウンドでも差は3.14mになりました。

これら2つのグラウンド実験から,「どんなサイズのグラウンドでも,スタートラインの差は3.14m」になることが見えてきました。ただし,これは円周部分を走るのはグラウンドの片側の場合です。両側の円周部分を走る場合は,3.14mの2倍になります。

これは地球をグラウンドに見立てても,同じになります。不思議な結果ですね。


 

2025年2月12日水曜日

近道はどちら?

子どもたちに「近道はどちら?」と投げかけます。
半円の中に,小さな円が2つ入っている図形を提示します。見た目では,「上が長い」「下が長い」「同じ」と考えは分裂します。その後,計算で長さを求めます。結果は同じ長さになることが分かります。

次に提示したのは,小さな円が3つ大きな半円に入っている図形です。1問目の結果から,「同じ」と考える子どもの割合が増えました。しかし,一致はしていません。
計算で確かめると,結果は同じ長さです。

3問目は,内部の円の半径が異なる図形です。今回は「下が長く見える」という子どもが増えてきました。計算で確かめます。結果は,これも同じ長さになりました。

ここまでの結果から,「中にどんな円を描いても,長さは同じになる」という共通点が見えてきました。そこで,残った時間は,自分で自由に中の円のサイズを決めて作図を行いました。テレビ画面に映った図形は,下の円の方が長く見えそうですが,これも同じ長さです。錯覚を使った問題に取り組みました。


 

2025年2月10日月曜日

円が何個見える?

 「周りの長さを求めよう」

このように子どもたちに投げかけます。

1問目は星の輝きのような形です。こちらは,1/4の円を移動することで,1つの円が見えてきました。


2問目は正方形の中に桜の花びらのような模様が見える形です。この問題で,子どもの考えにズレが生まれました。

「円が見えない」

「円の半分はある」

「円が1個見える」

「円は2個見える」

円が1個なのか2個なのか,子どもたちの見え方にはズレが生まれました。このズレはなかなか埋まりませんでした。

「図を半分動かすと,大きな円ができる」

「この大きな円の外側に1個の円がある」

「内側には1問目と同じ円が1個ある。だから,円が2個ある」

敢えて1問目の図と同じように図を変身することで,円を見えやすくしようと考えたのです。すばらしいアイディアです。

「半円が1個見えます。半円が2個で円が1個できる。半円はまだ2個残っている。だから合計で円が2個できる」

見えやすい半円の数を組み合わせることで,円の数を決めた考え方です。

正方形の図の中に見える円の数の理解は一朝一夕には進みませんでした。だからこそ,この部分の展開はゆっくりと進めました。子どもの状況に応じて展開のスピードを変えることも大切ですね。



2025年2月9日日曜日

関西算数授業セミナー満員御礼!

 2月22日(土)大阪府高槻市で関西算数授業セミナーですが,満席になりました。早めにお申し込みいただいた先生方,ありがとうございます。

セミナー当日お会いできる日を楽しみにしています!

2025年2月8日土曜日

周りの長さのイメージ化

円周と直径に関係するいろいろな問題に取り組みました。中でも子どもたちが悩んだのが,陸上トラックの曲線部分の半径を求める問題と,バームクーヘン状の図形の周囲の長さを求める問題でした。

陸上トラック問題では,問題場面を図に置き換えたら分かるという発想が生まれてきました。抽象的な文字を,具体的な図に置き換えることで,解決の糸口が見えてきました。

バームクーヘン問題では,「どういうこと?」「どうするの?」という声が多数聞こえました。この問題では,一部だけ見えていた円弧部分を拡張して円を完成させることで,解決方法が見えてきました。つまり大きな円へと置き換えて考える見方・考え方が,問題解決に有効に働きました。

「置き換え」の考え方の有効性が見えた1時間でした。


 

2025年2月6日木曜日

円周と直径の関係

 前回の学習で,直径の約3倍が円周の長さになっているという気づきが生まれてきました。しかし,この気づきを支えるデータ数は僅かです。そこで,大きな工作用紙を使って,自由なサイズの円を作成させます。

子どもたちは,コンパスで好きなサイズの円を作図します。その後,クラスで統一した測定道具である縄跳びを使って円周の長さを測定します。調査結果を,板書させました。

結果は板書写真の通りです。概ね3倍〜3.2倍の値が多数を占めました。板書写真にあるような超巨大な円を作図する子もいれば,極小の円を作図する子もいました。いずれにしても結果は,約3倍でした。



間もまく満席 関西算数授業セミナー

寒い日が続いていますが,先生方は寒さに負けずに授業創りに邁進されているのではないでしょうか。

2月22日(土)大阪府高槻市で関西算数授業セミナーを開催します。もうすぐ満席になります。ご興味のある方は,お早めにお申し込み下さい。

セミナーのテーマは次の通りです。

「子どもが主体的に見方・考え方を働かせる算数授業とは」

見方・考え方は学習指導要領でも最重要視されている観点です。この観点について授業でどのように扱うのかを学んでいきましょう。

今回のセミナーでは,同学年・同単元の授業対決が2本も用意されています。これはワクワクしますねえ。同じ場面でも,授業者が変わると展開そのものも変わってくるからです。

また,私の同志である久保田先生からの基調提案も楽しみです。どんな切り口で提案が行われるのでしょうか。

詳細は以下のチラシをご覧下さい。また,申し込みは以下のアドレスからどうぞ。


2025年2月3日月曜日

大阪守口市を訪問します

今日は大阪府守口市の公立校の研究発表会に参加します。大阪府の指定研究公開です。

全クラスが算数授業を公開します。この姿勢が素晴らしいですね。一部のクラスだけが授業公開する研究発表会は,学校全体の授業力を高めることには役立ちません。その意味で,守口市の学校のスタンスは他校のお手本となりますね。

どんな授業が公開されるのか,楽しみですね! 

本四連絡橋どこを残す?

2月1日(土)は本校の研究発表会でした。私の授業には130名を超える先生方にお集まりいただきました。遠方から参加されて方もいらっしゃいました。ありがとうございました。

本校の研究テーマに合わせて「どこを残す?本四連絡橋」の授業公開を行いました。国の莫大な財政赤字や本四連絡橋の莫大な建設費とその利払いと将来に渡って続く修繕費を総合的に判断し,淡路島ルートの廃止を私が提案します。この提案に対して,子どもたちが考えを構築していく展開でした。
最初は,自分の感情で意見を作ります。次は,本四連絡橋公団などが作成した客観的データを分析して意見を作ります。最後は,淡路島島民の声を聞いて意見を作ります。

この3段階の過程を通して,子どもたちが考えを構築する視点を多面的に獲得し,自分の考えの論理を複合的に構築していきました。当初,廃止賛成だった子どもの中の3名は,最終場面では廃止反対へと変化しました。島民の生の声や橋ができたことで生活が改善したことを実感したことが,その理由でした。

かわいさの中で,真剣に考えて議論する子どもたちの姿,いかがだったでしょうか。