2021年6月7日月曜日

読み方を考える(一万を超える数)

算数の時間,「一万の位」の読み方を学習した子どもたちに,「人口は何人かな」と投げかけます。


最初に提示したのは長岡京市の人口です。数字で書くと「81065人」となります。この数字の読み方を漢字でノートに書かせました。「八万」までは全員が同じ漢字を書きました。しかし,千の位の「1」の書き方にズレが生まれました。「千」と「一千」です。


そこで「一千」と書いた気持ちを読解させます。

「千が1個だから,一千と書いた」

「一千と読むこともあるよ」

「だったら,千でも一千でもどっちでもいいんじゃないかな」


「一千」でもいいと考える子どもや,「どちらの読み方のある」と考える子どもが増えてきました。すると,ここで「でも」と声があがります。


「でもさあ,10を『一十』とは読まないでしょ。100も『一百』とは読まないから,1000だって『千』でいいんじゃないかなあ」


これまで,10100を読むときに「一」を接頭語として付けることはありませんでした。これまでの数字の読み方とつなげた考え方が子どもから生まれてきました。

10100の読み方から,1000も「千」と読む妥当性が見えてきます。このような見方ができる子どもたち,すごいですね。

 

次に,高槻市の人口「350819人」を提示します。この読み方を,子どもたちは「三十五万八百十九」と表記します。この読み方を考えることをきっかけに,新たな発見が生まれてきました。

「3は一万が10個集まると十万になるから,三十万と読む」

「だったら,一万が100個集まれば百万。1000個集まれば千万だね」

「無限ループになっている」

「一十百千が万でも繰り返すからループだ」


十進位取り記数法の仕組みに気付いた声が生まれてきました。「一十百千」がこの後も永遠に繰り返されそうだという声も生まれてきました。


このように考えると日本の数表記はシンプルに構成されていることが見えてきます。子どもの気付きをきっかけに,数のいろいろな仕組みが見えてきた1時間となりました。



2021年6月4日金曜日

何文字あるかな?

子どもたちに,「ネコチーム・トラチームのそれぞれの文字数の合計を求めよう」と投げかけます。ネコ・トラチームは,クラスを半分に分けたチーム名です。


文字が大量に書かれたプリントを配布します。そこに書かれた


文字を見た子どもからは,「気持ち悪い」「えー」という声があがります。文字数の多さに感動?したのでしょうか。


子どもからは「全部同じなら簡単」と声があがります。全員が同じ文字数のプリントなら簡単だという声です。果たして,子どもたちの希望通りのプリントなのでしょうか・・・。


子どもたちのプリントの多くは同じ文字数です。しかし,一部の子どもには異なる文字数のプリントを意図的に混ぜています。


同じ文字数のプリントは,合計2000文字あることが分かりました。ネコチームは,2000文字の子どもが14人いました。2000文字が5人分で10000文字になります。10人分では20000文字になります。残りの4人分で8000文字です。この合計は28000文字です。本時は,1万を超える数の学習場面です。この部分の数え方はていねいに進めます。

さて,2000文字とは異なるプリントをもらった子どももいます。その子の文字数は280文字です。従って,ネコチームの合計は,28280文字となります。


28280文字の量を実感させるために,154枚のプリ


ントを貼らせました。子どもたちは位取りを意識しながら,右のように並べました。この文字数は本当に大量です。


トラチームの文字数も数えます。トラチームにも,2000文字でないプリントが混じっています。合計は31147文字。これも大量です。トラチームは下のように並べます。並べ方にも個性が見えますね!




























2021年6月2日水曜日

速く落ちるのはどっち?

3年生「時刻と時間」の一コマです。

大きさの異なる2枚の三角形の折り紙を提示し,


次のように投げかけます。

「速く落ちるのはどちらでしょう」


最初に,黄色い折り紙を落とします。ひらひらと落ちる折り紙を見ながら,子どもたちは自然に「1,2,3,4,5」と数を数えていました。

そこで,「なんで数を数えているの?」と尋ねます。

「もし,緑の折り紙が1,2,3,4だとしたら,緑が速いと分かる」

「数によって,どっちが速いが決まるんだよ」


 見えているようで実はよく分からない速さを数値化することで,その比較ができるという声が生まれてきました。数値化のよさに目を付けたすばらしい考え方です。


 ところが,この説明に対して,さらに次の声が聞こえてきます。

「ただ数えるだけじゃあだめだよ。黄色と同じ数え方を緑でもしないと正しくないよ」

「黄色は,『いち・にい・さん』だったでしょ。でも,緑を『いーち・にーい・さーん』と数えたら正しく比べられないよ」

「同じリズムで数えないとだめだよね」

「人が数えると,ずれちゃうかもしれないね」

「みんなで手拍子を揃えて数えたらいいね」


 単に数値化するだけではなく,いつでも一定のリズムで数を唱えることで正確に比較ができ

るという指摘です。短い時間をなんとか一定の長さで数値化する必要感につながる視点が子ど

もから生まれてきました。この視点が,ここで学習する「秒」の単位へとつながっていきま

す。


子どもたちは,「全員で手拍子の練習をした方がいい」と考えました。一定のリズムを保つ

ためです。そこで,手拍子の練習をします。その後,緑の折り紙を落とします。緑の折り紙は「1,2,3,4,5,6」で落ちました。

この結果,速く落ちたのは「5」対「6」で黄色の折り紙であることが分かりました。


新しい単位「秒」を使うことで,2種類の折り紙の落ちる速さを比較することができた1時間でした。



2021年5月31日月曜日

時刻と時間が長さ・かさとつながる

 子どもたちにつぎの問題を提示します。

「午前7時50分に学校を出発したポチ君は,犬駅まで20分かかりました。犬駅についた時刻を求めましょう」

式が「7時50分+20分」であることは,すぐに理解できました。そこで,どうやって犬駅に到着した時刻を求めるのかを考えさせます。多くの子どもたちは,「筆算で計算した」と声をあげます。そこで,どんなふうに筆算を書くのかを考えさせます。

子どもたちは右のような筆算をノートに書きます。しかし,


本当にこのような筆算の書き方でいいのでしょうか? 「これでいいの?」という私の問いかけに対して,つぎの声が聞こえてきました。

「いいよ。だって,mLとLの時と同じようにすればいいよ」

「㎝と㎜の時もそうだよ」

「同じ単位で揃えて計算すればいいんだよ」

子どもたちは,当たり前のように「時」と「分」の部屋を分けて筆算をしていましたが,そこには前述のような既習の学びが隠されていたのです。水のかさ・長さの学習では,単位を揃えて計算するよさを学習しました。そこで学んで単位を揃えるよさが,時間の学習でもリンクされたのです。単元を超えた見方・考え方の共通性に気がつける子どもたちの視点,本当に素晴らしいですね。子どもたちには,「超すばらしい」マークを板書でプレゼントしました。

このあと,単位を揃えた筆算で計算を進めていきます。そのまま計算すると,答えは「7時70分」になります。これに対して,子どもたちが説明を始めます。

「1時間は60分でしょ。だから,70分は60分と10分に分けるでしょ。そのうちの60分は1時間だから,7時にあげる」

「分はまだ10分だけ残っている。だから,8時10分になる」

分の位の数字が60分を超えた繰り上がりになります。その繰り上がりの数字の処理の仕方について,子どもたちは分かりやすく説明していくことができました。

量と測定領域の「時刻と時間」「水のかさ」「長さ」が,計算方法を考えることで一気につながった1時間となりました。



情報が多すぎて無理!

3年生の「時刻と時間」の 学習の一コマです。子どもたちに,次の問題を提示します。

「ネコランドのチケットセンターを出発してから1時間40分後の午前11時30分に,ネコタワーの頂上に着きました。チケットセンターを出発した時刻を求めよう」

実際の問題文は,ホワイトボード6行になりました。子どもにとってはかなりの長文です。そのため,「文が多すぎて無理」「よく分からない」という声が聞こえてきました。問題文の量の多さに圧倒された素直な声です。

しかし,子どもたちは必死で文章に向き合っていきます。やがて,「そういうことか」「ひき算かな」「繰り下がりがあるかな」と声がきこえてきます。

子どもたちが考えた式は,「11時30分−1時間40分」です。しかし,この式を見ても首を捻っている子どもの姿が見えました。なぜ,その式になるのか納得できていないのです。そこで,前述の式だと考えた理由を説明させます。

ところが,言葉の説明ではまだ納得できていない子どもの姿が見えました。そこで,「まだ,もやもやしている人がいるね。そんな時はどうしたらいいかな」と投げかけます。

ここで生まれてきたのが,「図にしたらいい」という声でした。

子どもから生まれてきたのは,右の図です。この図を,


クラス全体で読解していきます。

「タワーの頂上に着いたのが,11時30分」

「チケットセンターを出発した時刻が分からないから,?にした」

「チケットセンターからタワーまで1時間40分かかったから,それを矢印にした」

「?はと同じ意味だから,+1時間40分=11時30分になる」

を知りたいから,11時30分−1時間40分にすればいい」

これで,前述の式でよい理由を全員が納得しました。式が見えたので,実際に計算をしていきます。すると,今度は子どもたちの計算結果にズレが生まれました。また,計算しながら「意味不明」「できない」という声も聞こえてきました。

そこで,このズレを取り上げていきます。右のように筆算で考えた式を提示し,気持ちを全員で読解します。

「30分−40分ができないから,1時間繰り下げる」


「11時が10時になる。100分繰り下げたから,130−40=90分」

「90分は60分と30分。60分は1時間だから,9時に1時間あげる」

「だから,10時30分」

10時30分と答えが出たものの,納得できない表情の子どもがいます。

「なんか変だよ。10時30分だと,タワーに着いた11時30分の1時間前にしかならないよ」

この声に「確かに」と納得の声があがります。計算のどこかが間違えていたようです。一体,どこが間違えていたのでしょうか。子どもたちに考えさせます。

「1時間は60分でしょ。だから繰り下がりも60分だよ」

「さっきのは,繰り下がりを100分にしている」

「160−70の繰り下がりなら,10を繰り下げる。でも,この計算は,10繰り下げてはだめだよ」

「60分繰り下げて計算するから,60分と30分で90分にして考える」

時間の計算は,分の単位が60進法です。この部分が3年生の子どもには間違えやすいのです。前述のような計算をする子どもがいるのは,これまでの既習の整数の計算をもとに考えているので自然な姿だとも考えられます。この既習と比較することで,60進法の特殊な時間の計算の仕方について考えていくことができました。




2021年5月24日月曜日

騙されていたのは子どもたち!?

 「差が小さい方が勝ちゲーム」でできた計算カードの得オザを順に計算してきました。ここまでに子どもたちは,繰り下がりのない計算に取り組んできました。

 この時間は,計算がまだ終わっていない計算カードに取り組んでいきます。当初,「一の位が繰り下がる」と子どもたちが考えた計算カードが,まだたくさん残っています。そこで,「一の位が繰り下がる計算からやってみよう」と投げかけます。

ところがこのカードを見た子どもたちから「あれ?十の位も繰り下がるのがあるんじゃない」と声があががります。子どもたちから指摘されたのは,「600−404」のカードです。その理由を次のように説明します。

「一の位の1から4は引けないでしょ。だから,十の位から借りたいけど,十の位が0だから借りられない」

「そうすると百の位から借りるから,2回繰り下がるん


じゃないかな?」

「十の位が0と0だと2回繰り下がるんだ」

「だったら,他にも十の位が同じ数字があるよ。411−318も1と1で同じだ」

「581−284も十の位が8と8で同じだ」

「前のたしざんのだまされたシリーズと同じだ。繰り下がり1回に見えて,本当は2回あるんだ」

たしざんの学習では,見た目は繰り上がりが1回なのに,実際に計算をすると繰り上がりが2回という計算がありました。その構造と,今回の繰り下がりの構造が似ているという考えです。数字の構造に目を付けた子どもたちの見方は鋭いですね。

子どもたちの指摘は,さらに続きます。

「百の位が同じカードもあるよ。490−481は百の位の数字が4と4で同じだ」

「571−568も百の位の数字が5と5で同じだよ。だまされたシリーズで繰り下がりは2回ありそうだ」

同じ位に同じ数字があれば,繰り下がりの回数が増えるのではないかと考えたのです。十の位の見方を百の位にも拡張するよい見方です。

さて,子どもたちの予想通りに指摘された計算カードはだまされたシリーズになるのでしょうか。先ずは,簡単に計算ができそうな百の位の数字が同じ「490−481」から取り組みます。

計算が始まってしばらくすると,次の声が聞こえてきます。

「あれ,繰り下がりがない」


「百の位は繰り下がらない」

「1回しか繰り下がりがない」

子どもの想定外の結果となりました。「568−571」にも取り組みますが,この計算も繰り下がりは一の位の1回でした。だまされたシリーズにだまされてしまったのは子どもたちでした。

では,十の位の数字が同じパターンの繰り下がりの回数も1回なのでしょうか。「600−404」に取り組みます。計算が始まってしばらくすると「ごちゃごちゃする」という悲鳴が聞こえてきます。

「一の位の0から4は引けないでしょ。十の位から借りたいけど,0で借りられない」

「だから,百の位の6から十の位の十を貸して,その十の位からまた一の位に貸す」

「繰り下がりが2回あるからごちゃごちゃする」

「もし,660−404の計算だとしたら,一の位が引けなくても,十の位の6から借りられる。でも,600の場合は借りられないからごちゃごちゃになる」

「600−404」と「660−404」を比較することで,前者の計算の大変さを分かりやすく説明していくことができました。

十の位が同じ数字のパターンは,だまされたシリーズと同じで繰り下がりが2回ありそうです。この日はここで時間切れとなりましたが,計算を構成する位相互の数字に目を付けることで,繰り下がりの回数を考えていこうとするよき見方が生まれた1時間となりました。



2021年5月21日金曜日

簡単な計算はどれ?

 前回の「小さい方が勝ちゲーム」の続編です。前回は,ゲ


ーム結果の数字カードを繰り下がりの回数に応じて仲間分けしました。

本時は,実際の計算に取り組んでいきます。子どもたちに,次のように投げかけます。

「簡単に計算できそうなのは,どのカードですか?」

子どもたちは,「繰り下がりがない」カードを一斉に指摘します。しかし,繰り下がりのないカードは8枚もあります。そこで,次のように問いかけます。

「8枚の中で,一番簡単に計算できそうなのはどれかな?」

これは全員が同じカードを指摘します。「509-508」のカードです。そこで,なぜこのカードが簡単だと考えたのかを尋ねます。

「だって,508と509は1違いだから簡単」

「数字が,508,509とつながっているでしょ。だから簡単」

「同じ数字が2つある」

「百の位は5と5,十の位は0と0。だから計算が簡単」

「同じ数字の位が,百の位・十の位と続くから簡単」

「316と306も同じ数字の位が2つあるけど,百の位と一の位と離れているから少し難しい」

子どもたちは,2つの数字の位同士の関係を比べ,簡単に計算できそうな理由を論理的に説明していくことができました。

子どもたちが選択した「509-508」は簡単に計算できるのかを確かめます。計算に取り組んだ子どもからは,「簡単」「すぐにできた」と声があがりました。

次に子どもたちが簡単だと考えたのは,「750-650」です。同じ数字の位が2ヵ所あります。それは十の位・一の位と連続しています。この計算も,「簡単」だと子どもたちは取り組み後に声をあげました。

その後,「316-306」などの同じ数字の位が離れている計算,「491ー200」の02つある計算,「718ー707」の同じ数字の位が1つしかない計算と取り組みました。いずれの計算も「簡単」と子どもたちは声をあげました。

ひきざんの学習では,教師から与えられた計算問題を解いていくだけの展開になりがちです。しかし,本実践のように子どもに選択させる場面を設定することで,目的意識をもった展開を進めることができます。