「絵に合うお話を作ろう」
このように子どもたちに投げかけます。最初に見せたのは,右のカニの画像が変化していくものでした。ここから子どもたちは,次のようなお話を作りました。
「赤いカニが4匹,青いカニが3匹います。合わせて何匹ですか」
カニの画像を提示する前に,子どもからは「たし算のお話かなあ?」と声があがりました。前回の学習を生かしたよい声です。そこで,カニのお話がたし算にできるのかを尋ねます。
「合わせるからたし算だよ」
「4匹と3匹を合わせるから」といいながら,両手を合わせるジェスチャーをする姿も見えました。これも前回の学習で見られた姿でした。それを着実に活用していることが分かります。
カニのお話が「4+3=7」と表現できることを確認します。式をノートに書かせた後,次のように話をします。
「お話を忘れないように,絵もノートに描きましょう」
すると,これに対して「えー!」という声があがります。そこで「なんで『えー』なの?気持ちは分かる?」と尋ねます。
「カニは難しい」
「大変」
「だったら,○にしたらいいよ」
「赤い○と青い○を描いたら,すぐできるよ」
図を簡略化するよいアイディアが生まれてきました。これなら,簡単にカニのお話を絵(図)としてノートに描けます。問題場面を簡略化するアイディアは,算数では大切な見方です。このアイディアを引き出すために,意図的に描き写すことが難しいカニを教材として選択してみました。見事,この意図は的中しました。
さて,ノートにカニを○にして描かせました。ところが,その表現方法は同じではありませんでした。
絵で見た通りに,赤いカニを2段で描く子どもが多くいました。一方,4匹のカニを横1列に描く子どももいました。そこで,「横にカニの○を描いた気持ちは分かる?」と尋ねます。
「横だと数えやすい」
「ノートの下を使わないからいい」
数えやすさだけではなく,ノートの節約ができるという視点が生まれたのは驚きでした。
その後,足が10本あるイカの問題も提示します。ここでも子どもたちは,イカの絵を○に置き換えて表現することができていました。