子どもたちに次のように投げかけます。
「数の列車の□はいくつですか」
数字が書かれた列車の車両が順に画面に提示されることを説明します。最初に提示したのは,列車の左端車両の「1」です。この提示だけで,子どもから様々な声が聞こえてきました。
「次は2だ。1,2,3,4だから」
「3かも。1個飛ばしで,1・3」
「だったら,4や5もあるよ」
「1」という1つの情報だけで,子どもは実に様々な可能性のある数字を説明してきました。これまでの数字の学習の土台を確実に生かした発想です。
しかし,「1」だけでは次の数字の情報は確定できません。するとここで,次の声が聞こえてきました。
「次の列車も最後まで見ないと,どの数字か決められないよ」
1年生なりの言葉でしたが,数字の決定には情報が不足していることへの指摘です。そこで,次の車両を提示していきます。
2両目は「□」です。これでは決められません。そこで,さらに車両を提示します。次は「3」です。これで多くの子どもたちは「やっぱり2だ」「1,2,3,4だ」と考えます。一方,別の数字をイメージする子どももいました。
「4。だって,1と3を合わせると4になる」
子どもの発想は柔軟ですね。左右の数字の和が真ん中に入ると考えたのです。この論理も納得できます。こうなると,さらに車両を提示しないと,空欄の数字は決られません。
4両目は「□」,5両目は「5」,6両目は「6」です。これでほとんどの子どもたちは,「□は2と4だ」と考えました。数字が順番に増えていくという論理をもとにした考えです。
一方,先ほどの左右の合計数の和が真ん中に入る考えも,この場合は成立します。「1④3⑧56」の並びだからです。この立場に立てば,6の右隣が1だとすれば,「5⑥1」となるので,左右合計の考え方も成立します。
この後も,様々な数の列車問題を提示します。一気にすべての車両を提示するのでなく,1両ずつ車両数字を提示することで,その先を自然に予測する声を引き出すことができました。その中で,子どもたちの発想の柔軟さにびっくりした時間となりました。
ただし,数字を決めた論理を語ることは,1年生にはかなり難しいですね。友だちが納得できる理由を論理的に説明することは,この段階ではかなりハードルが高いことも見えてきました。様々なアプローチで少しずつ説明力を高めることが大切ですね。