2023年5月25日木曜日

高いタワーを作ろう


 子どもたちが持ってきたお菓子の空き箱と,学校にある立体ブロックを使って「高いタワーを作ろう」と子どもたちに投げかけます。

5〜6人のチームで空き箱やブロックを使って,高いタワーを作っていきます。ブロックの中には半球体・球体も意図的に混ぜています。子どもたちが,これらをどのように使うのかを見ていました。

高いタワーが完成したあと,半球体を巡る子どもたちのやりとりを紹介しました。

「半分丸(半球)のブロックを使おうとしていたら,『それ使っちゃだめだよ』とK君が言っていました。この気持ちは分かりますか?」

それに対する子どもたちの反応です。

「だって丸いもん」

「上に箱を置くと,落ちるよ」

「一番上に置くならいいけど」

面が球体の立体をタワー作りの途中に入れることができない理由を,子どもたちなりの言葉で表現することができました。子どもたちが「ミニトマト」と表現していた球体も「置いたら転がる」という理由で,途中には使えないことが明らかとなりました。

次に,対応する2つの底面が平らな「三角柱」「四角柱」「円柱」を順次提示し,「これは使った?」と尋ねます。いずれも,たくさん使ったことが分かりました。そこで,「これはなんでたくさん使ったの?」と尋ねます。

「それを使うと,高くなる」

「崩れにくいからだよ」

「でも,丸のやつ(円柱)は横向きに置いたらだめだよ。転がっちゃうから」

両底面が平らになることを指摘してもらいたいと考えていましたが,難しいことが分かりました。そこで,「こんなブロックもあるんだけどさあ。丸いブロックで・・・」と言って円錐を提示します。これには一斉に声があがります。

「それはだめだよ」

「上がとんがっているから積めない」

「上に置いたら,落っこちる」

「上に置ける」と主張する強者もいましたが,実際に実験を行うとできませんでした。その後も「四角錐」「三角錐」を提示します。異質の錐体と比較することで,子どもたちは「上が平らじゃないとだめだよ」「平らなら高く積める」と,面の形に視点を当てた声を引き出すことができました。

1年生の数学的な見方を引き出すためには,引き出したい見方に該当する対象と,それとは異質な対象を提示することも必要なのかもしれませんね。