2023年5月3日水曜日

1年生と具体的事例

 前回のブログで,1~10の数字カードを使って大きい数ゲームを紹介しました。

数字カードの7が引かれたとき,「勝った」「だって,あと3個だから」という声が聞こえてきました。子どもたちが考える「3」について,その後,話題にしていきました。

「3ってなに?」(私)

「あと3こあるってこと」

「あと3の3ってなに?」(私)

「だから,1,2,3の3」

うーん,彼らは3そのものの意味を語り始めるのです。7以降の数字が3個あることの中身,すなわち具体例を尋ねているのです。ところが子どものこの瞬間の思考は,その話題から離れて,単なる数字の3の意味へと移っていることが分かります。数字の3そのものの意味と,7以降の数字が3個あることを区別して考えることにハードルがあることが見えてきました。1年生のこの段階での思考は,似て非なるものを明確に区別して考えることが難しいことが見えてきます。どの時期から,多くの子どもがこの区別を明確にできるのか,これから探りながら授業を進めていきたいと考えていきます。

毎日が発見の連続の1年生です。学習内容そのものは,高学年のそれと比較したら簡単です。しかし,その背後にある数学的な見方・考え方を培っていくことは,高学年のそれよりもかなり難しいと言えるのかもしれません。だからこそ,教師が1年生の数学的な見方・考え方の表出場面を細やかにキャッチして共有していくことや,それを引き出す意図的な働きかけを継続する必要があると言えます。

さて,前述の授業のその後です。子どもからは,次の声が生まれてきました。

「だから,8,9,10の3」

この子は指を折りながら7以降の数字が3個あることを主張しました。「8,9,10」と「3」を結び付けたのです。この姿を,全員に見せました。3の意味を拡張した瞬間とも言えます。

1年生の数学的な見方・考え方は,少しずつ成長していきます。