目を開けた子どもたちは,「わー」「何個か分からん」「数えにくい」と声をあげます。ところが,その後に続いたのは,「並べるといいよ」「10個ずつだと分かりやすい」という分かりやすくするための手立ての声でした。
そこで,どのように丸を並べるのか,代表の子どもに実演してもらいました。その子は,1列目に丸を10個横に並べました。続いて,2個の丸を下の段に貼りました。そこで,この動きをここで止めて,子どもたちに問い返します。
「1列目をここで止めた気持ちは分かりますか?」
子どもたちが説明します。
「数えやすいからだよ」
「10ずつにしたいからだよ」
「10が1列,10が2列,10が3列としていきたいんだよ」
「10と10で20になるでしょ。20と10で30になるでしょ。そうすると数えやすいからだよ」
1年生なりの言葉で,10ずつ数えるよさを説明してきました。
そこで,本当に10ずつで列を変えると数えやすいのか,続きの丸シールを動かしていきます。
全部の丸の移動が終わると,子どもたちは一斉に総数を語り始めます。
「34だ」
「30と4で34」
「10が3個で30と8で38」
位取りを意識した説明が,自然に生まれてきました。さらに,次の声も聞こえてきました。
「こんな大きい数,初めて勉強するね」
「今までは20までだったよ」
教科書会社の編集が聞いたら喜びそうな声が聞こえてきました。既習と目の前の学習範囲を意識した,すばらしい声です。
その後,「十の位」「一の位」の位取りがあることを教えます。すると,またまた次の声が聞こえてきました。
「十の位の左には,百の位があって,そのまた左には千の位が部屋があるんじゃないかな」
位取りのその先を予想する声の出現にびっくりしました。
この後も,いろいろな発見があった「大きな数」の第1時間目となりました。