2025年11月11日火曜日

「5倍にうすめて」とは?

 「カルピスの『5倍にうすめて』とは,どういう意味?」

このように投げかけます。子どもからは,次の声があがります。

「カルピスが1だとしたら,水が5ってこと」

「水:カルピスなら5:1で5倍」

「違うかも。これをコップの図にするとカルピス1で水が5。全体で見たら,カルピスが1/6になる」

「本当だ!」

「だから,カルピス1で水4にすると,全体で見ると1/5になるから水は4じゃないかな」

「でも,普通に『5倍にうすめて』と読んだら,水を5入れちゃうよ」

「確かに!」

子どもたちは混乱してきました。すると,「さっき,150mlとか作り方が書いてあった」と声が聞こえます。カルピス原液のペットボトル表記に解決のヒントがあることに気づいた声です。

次のことが,ペットボトルには表記されています。

「1杯150mlが15杯分作れます」

原液の内容量は470mlです。そこから15杯作ることができるということは,470mlを15でわれば,1杯当たりの原液量が計算できます。470÷15で約30mlの原液が必要なことが見えてきます。原液30mlであれば,加える水は120mlとなります。これを比で表記すると,120:30なので,4:1となります。つまり,「5倍にうすめて」というのは,水を原液の4倍入れるということなのです。

最後にペットボトルの裏を確認します。そこには「原液1:水4」と表記されています。原液の4倍の水を入れればよいことがここで確かめられました。

しかし,「反対になっている」と声があがります。比の表記の順が反対なのです。数学的な比の表記は,A:Bが「AはBの何倍を表しています」ということです。従って,数学的には「4:1」と表記するのが正しいのです。この部分にも子どもは気づきました。

ただし「4:1」と表記すると,先に水を4入れて,次に原液を1入れる可能性があります。この順で2量を入れるとうまく混ざらないようです。そのため「1:4」という表記にしているのではというのが,子どもたちの見立てでした。