子どもたちに「画用紙を半分に折っていくと,対角線にできる角の大きさはどうなりますか」と子どもたちに尋ねます。
ピンク色の長方形を提示し,対角線を1本引きます。左隅に角度が見えてきます。子どもから,次の声があがります。
「いっしょだよ」
「半分にしても長方形ができるんだから,同じでしょ」
「半分に折ると紙が小さくなるから,角も半分になるんじゃない?」
「でも,面積のことじゃないよ」
多くの子どもたちは,角の大きさは変わらないと考えています。そこで,ピンクの紙を半分に折ります。水色の紙になります。対角線にできる角の大きさはどうなったでしょうか?
ほとんどの子どもが「変わらない」と声をあげます。一方,「小さく見える」という子どももいます。ズレが生まれました。そこで,2つの紙を重ねます。
結果は,なんと水色の紙の角度の方が大きくなりました。ピンクが30°,水色が35°です。
すると,この結果から次の声があがります。
「次も大きくなる」
「今の論理でいくと40°になる」
「①から②で5°増えたから,次も5°増える」
「あれ? やっぱり30°。だって,②を半分にすると①の1/4の大きさになる」
1/4の大きさになると,①の左隅にぴったりとはまります。これが本当なら30°です。しかし,この考えを疑っている子どももいます。ここでもズレが生まれてきました。
実際に折って確かめます。結果は,30°です。この後,子どもたちは角度が30°→35°が繰り返し現れるというきまりを見つけてきます。
そんな子どもたちに,特別に小さな長方形を提示します。この角度が何度になるのかを尋ねます。しかし,このままでは分かりません。
すると,「辺の長さを教えてほしい」と声があがります。そこで,横と縦の辺の長さを教えます。
赤 3㎝と2㎝
① 48㎝と32㎝
これだけで,「30°だ」と声があがります。
「横の3㎝を16倍すると48㎝」
「縦の2㎝を16倍すると32㎝」
「どっちも16倍しているから,赤は①の仲間」
「(横に見たら)赤の横3㎝を÷2/3したら2㎝になる。①も横48㎝を÷2/3したら32㎝。どちらも÷2/3しているから」
等しい比を探す見方や比の値に近い見方が生まれてきました。比の見方を使いたくなる導入を行なった1時間でした。