福岡に来ています。明日は福岡県内の小中一貫校にお邪魔します。6年生と9年生の授業を参観します。その後,私も授業公開を行います。
中等部に当たる授業を参観するのは久しぶりです。楽しみですねえ!
福岡に来ています。明日は福岡県内の小中一貫校にお邪魔します。6年生と9年生の授業を参観します。その後,私も授業公開を行います。
中等部に当たる授業を参観するのは久しぶりです。楽しみですねえ!
本日は本校のICT研究会でした。子どもたちに「24㎤になる立体の体積を求める式を読解しよう」と投げかけます。「読解ってなんですか?」と想定外の声があがります。まあ,この意味が分からなければ,問題ができませんからね。
24㎤の体積に取り組む前に,12㎤になる式で練習します。この後に作成するプレゼンのイメージ化を共有する意味もありました。
「3×1×4」の式を提示します。子どもたちは縦3㎝,横1㎝,高さ4㎝の直方体をイメージしました。そこで,私がヒント1の画面を提示します。そこにあったのは,1㎤が3個つながった画像です。想定外の画像に,驚きの声があがります。その後,「L字?」「平ら」「高くなっている」などの声があがります。ヒント1だけでは,立体の状況を確定することはできません。
そこで,ヒント2の画面を提示します。立体を真横から見たものです。L字になっています。これで立体の全体像が見えてきました。
最後に完成した立体の全体像を提示します。
子どもたちには,24㎤になる立体を前記の手順で好きなアプリを自由に選択させ作成させていきました。
活動が始まると,想定以上に時間がかかりました。子どもたちはきれいに立体を並べようとします。さらに,どの向きから写真を撮るのかにもこだわりました。写真を撮影しようとした瞬間に積み上げたブロックにタブレットがぶつかれ崩れ去る・・・なんていう現象も起きました。思い他,画面作成に時間がかかったしまいました。
さて,最後に「3×3×4ー1×1×3×4」という式を作ったM子の式を,全員で読解します。式の前半は,すぐにイメージができました。縦・横3㎝・高さ4㎝の直方体です。問題は,式の後半です。かけ算に3つではなく4つの数字が登場するからです。
この「1×1×3×4」は,さらに前半と後半に分解します。「1×1×3」と「×4」です。前者は,1㎤が3個縦につながった形です。後者は,この立体が4本あるということです。イメージ化できた子どもが,見取り図を作成します。他の子どもたちは手元のブロックで式に合う形を作成します。
M子のプレゼンの最後の全体像の画面では,子どもたちから拍手が起きました。
同じ式でも,様々な見方ができることに気付いた1時間でした。
「全く同じ形を見つけたら当たり」
このように子どもたちに投げかけます。すると,「簡単だよ」「でも,1㎝位違ったら」と声があがります。そこで「1㎝位違ったら」の言葉の意味を読解していきます。
「全て全部いっしょっていうことだよ」
「長さが同じということ」
「重さも同じ」
「『同じ形』の形を探すから,重さは関係ないよ」
「面積も同じ」
「角度も同じだな」
子どもたちは,「長さ」「面積」「角度」の3つの視点が同じであれば,全く同じ形と判断できると考えました。すると「結構難しいね」と声があがります。「簡単」という当初のイメージは飛んでいきました。さらに,「長さ・角・面積が分からないと比べられないね」と難しさの要因に着目した声があがります。ところが「それなら重ねて比べたらすぐ分かるよ」と声があがります。よい比べ方の視点が生まれてきました。
その後,青の三角形と全く同じ形をカードを裏返して探していきます。
1枚目のカードが引かれます。「うーん,違う?」「小さい」などの声が聞こえてきます。すると今度は,目元に定規を当てたり,2本指で間を測定したりしながら,2つの三角形の長さや角の大きさを目測する姿が見えてきました。目測ではありますが,長さと角度に視点を当てたよき調べ方です。子どもたちの目測では,赤の三角形の辺の長さ短く見えるなどの理由で同じではないと考える子どもが多数いました。
最後は,2つの図形を重ねて調べます。結果は,外れです。赤の方が辺の長さが小さいことが分かりました。
3枚目に引かれたのは,もとの三角形とは反対向きの図形でした。すると,この図形を引いた子どもが,カードを回転させます。この行動の意味を読解します。
「裏返しても同じ形なら,当たりでいいんだよ」
「だから,カードを裏返したんだよ」
「裏返した方が比べやすいね」
そこで,カードを裏返した状態で「全く同じ形」かを考えさせます。裏返すと,青の図形と同じに見えてきます。目測でも辺の長さ,角度が同じに見えました。最後に,2つの図形を重ねて調べます。結果は,ぴったり重なります。
その後も同様に当たりを見つけていきます。2枚の図形を重ねることで,長さ・角度・面積の3つの視点で全く同じ図形を見つけることができることが分かりました。このような図形を合同と言いますが,合同の見方をゲームを通して引き出した1時間でした。
9月14日(土)鹿児島県鹿屋市で算数研修会が開催されます。研修会のテーマは,
「子どもと共に創る算数授業づくりと学級経営」
です。この講座では,算数の授業づくりだけではなく学級経営についても話をします。学級経営と授業づくりは切っても切り離せない関係にあります。授業がうまい先生は学級経営も素敵です。学級経営が素敵な先生は授業もうまいのです。こんな関係を,この研修会では明らかにしていきます。
算数授業は尾﨑学級の授業ビデオをもとに開設をしていきます。
相棒は筑波大学附属小の森本隆史先生です。森本先生も算数授業&学級経営の達人です。2人で鹿児島の研修会を盛り上げていきます。
本研修会は鹿児島県外の先生方も参加できるそうです! 詳細は以下をご覧ください。
申込は以下のアドレスからどうぞ!
R6年度 大隅地区算数部会研修会の申込みについて (google.com)
今年の夏も,筑波大学附属小学校を会場に「全国算数授業研究大会」が開催されます。
期日は8月5日(月)〜6日(火)の2日間です。今回は10本の公開授業を行います。例年の大会の授業公開数のほぼ倍です。
言葉だけでの議論ではなく,実際の授業を通して授業者の提案内容を議論していくのが本大会の特徴です。実際の授業を通して議論するのですから,言い訳はできません。子どもの素直な反応が授業の善し悪しを語ります。とてもシビアな研究大会です。しかし,シビアだからこそ授業者もそれを斬るパネラーにも本質を見抜く目や本質に導く授業力が問われます。
暑い夏に算数に熱い志をもった先生方が集う全国算数授業研究大会へお越しください。
お申し込みは以下からお願いします。
子どもたちに,次のように投げかけます。
「AとBの2本のゴムがあります。伸ばすとそれぞれ次のようになりました。何倍に伸びたでしょう」
Aのゴムデータを提示します。4.8mが7.2mへと伸びました。子どもたちはノートに向かって計算を始めます。ところが,しばらくすると「どう計算するの?」という戸惑いの声が聞こえてきました。この声の意味を読解します。
「式が分からないってことだよ」
「7.2÷4.8なのか4.8÷7.2なのか決められないんだよ」
わり算の式になることは見えています。しかし,わられる数・わる数の数値を決められないことが戸惑いの原因でした。
すると「4ます関係表にしたらいいよ」と声があがります。これまでの問題解決で困ったときに使ってきた必殺アイテムです。
子どもたちが4ます関係表をノートに書き,式を見つけていきます。ところがまたしても「まってまって」と,戸惑いの声があがります。戸惑いの原因を尋ねます。
「4.8mと7.2mは分かる。でも,後が分からない」
「3つ目の数字がない」
これまでに子どもたちが取り組んだ問題文には,必ず3つの数字がありました。ところが,この問題場面にはそれは存在しません。すると,次の声があがります。
「7.2mの下が□倍だよ」
3つ目の数字ではなく問われている部分の「□倍」という声があがります。「何倍の伸びたのでしょう」と問われています。そこから「□倍」の声が生まれてきました。この部分が見えると,4.8mの下も見えてきます。
「分かった。1倍だ」
「どういうこと?」
「だって4.8mはそのままってことだから1倍だよ」
もとの長さが4.8mなので,ここが1倍になります。これで4ます関係表が完成しました。これで式が見えてきます・・・。
ところがです。困っている子どもたちが多くいます。「赤ちゃんが入らない」と声があがります。比例関係を表す矢印がうまく入れられないのです。4.8mを7.2mにするための式がすぐに見えてきません。これまではこの部分の式はすぐに見えました。困りました。
すると2人の子どもが,両腕を上下に動かすジェスチャーをしているのが見えました。このジェスチャーの意味を読解します。
「分かった!縦だ」
「縦?」
「縦ならいける」
比例関係を横ではなく,縦で見つけたのです。4.8mを1とみなすためには4.8÷4.8と計算します。同じ比例関係式が4ます関係表の反対側にも位置付きます。これで式が見えてきます。7.2÷4.8と計算すれば,何倍かが分かります。
しかし,4ます関係表に縦方向に式を見出すのは初めての経験です。そこで,この見方が偶然なのかを尋ねます。1/5程の子どもは半信半疑です。
4.5mのテープが6.2mに伸びた場合を考えます。この問題も4ます関係表に整理します。比例関係はやはり縦方向だとすぐに見出すことができました。
4ます関係表の新しい使い方に出合った1時間でした。
昨日は高知の小学校を訪問しました。17学級の算数授業を参観し,その後は,私が3年生に「三角形」の授業を行いました。とてもかわいい子どもたちでした。「ジェスチャーの女神」と私が名付けた女の子は,授業後に「私がジェスチャーしたら,先生は絶対に指してくれるよね」とうれしそうに言いに来てくれました。子どもの素直さ・かわいさは日本中同じですね!
子どもたちに次の問題を提示します。
「1.8mで1.2㎏のソースかつ棒があります。1mでは何㎏ですか」
4ます関係表を使って,式を求めます。1.2÷1.8という式が見えてきます。この後,子どもたちはこの計算を進めます。
計算が始まってしばらくすと,「割れない」「同じ答えが続く」「割り切れない」と声があがります。答えが「0.666・・・」となり小数点以下に6が永遠に続くのです。
この結果を見た子どもから,次の声があがります。
「それなら四捨五入したらいいよ」
「約になるね」
「でも,何の位で四捨五入するの?」
概数で表すアイディアが生まれてきました。しかし,概数の範囲を確定しないと四捨五入はできません。子どもからは2種類の声が生まれてきました。
最初の声は「四捨五入して小数第二位まで求める」でした。この視点だと「約0.67」になります。
もう一つの視点が「上から2桁の概数にする」でした。ところが,この視点では考えにズレが生まれました。「0.7」と「0.67」です。
一の位の0をスタートにしたら0.7,小数第一位をスタートにしたら0.67と概数が変わってしまいます。果たして,どちらの考え方がよいのでしょうか。
子どもたちの話し合いは,一の位の0を意味があるものと捉えるのか否かで判断が分かれました。話し合いは二転三転しましたが,子どもたちが納得したのは次の説明でした。
「もし1.67という数があるとしたら,この一の位の1は1個あるということだから意味がある。でも,0.67の0はそもそもないものだから意味はない。だから小数第一位の6から数える」
「1.67を10倍すると16.7になる。最初の一の位の1には意味があるから,10倍しても残る。でも,0.67を10倍すると6.7になる。最初の一の位の0は消えた。最初の0には意味がないから消えた。だから,0.67を数え始めるのは小数第一位の6から」
この説明に子どもたちも大いに納得しました。形式的に,一の位が0の場合の「上から2桁」のスタートの位置を教えることは簡単です。しかし,それでは論理的思考は育ちません。このような学習過程が大切ですね。
次のように子どもたちに投げかけます。
「商が割られる数より大きくなる式を引いたら当たりゲームをしよう」
この問題文では,状況がうまくイメージできない子どももいます。
「6÷2=3だから外れ」
「6÷0.2=30だから当たり」
具体的な式が子どもから生まれてきました。具体例があることで,問題場面のイメージ化ができました。この段階で「きまりがあります」という声が聞こえてきました。しかし,この段階ではまだその声は取り上げませんでした。
実際のゲームを始めます。代表の子どもがカードを引きます。引かれたのは「2.2÷0.11」でした。カードを見た子どもからは,「よし!」「1より小さい」などの声が聞こえてきました。勝利を確信した声やきまりに気づいた声です。しかし,式を見てもすぐに当たりかどうかが分からない子どももいます。そこで,実際に計算をして答えを確かめます。
答えは「20」です。割られる数の「2.2」よりも大きくなりました。当たりです。この結果から,きまりに気づく声が生まれてきました。
「きまりがあるよ」
「わる数が1よりも小さいと,商は大きくなるんだよ」
「似ているのをかけ算でもやったね。5月21日にやった小数のかけ算は,1より小さい数をかけると,積も小さくなるでその勉強と似ている」
「でも,それって反対の関係になっている」
「かけ算は増えるけど,わり算は減るでしょ。だから反対になるんだよ」
割る数が1よりも小さいと,商が割られる数よりも大きくなるきまりに気づく声が生まれてきました。さらにこの声をきっかけに,類似の学習を小数のかけ算でも取り組んだことなどが想起されてきました。既習がつながるよき学びの姿が生まれてきました。
しかし,このきまりに完全な自信を持っている子どもはこの時点では7割ほどです。実験した事例がまだ1事例だからです。
そこで,相手チームのカードを引きます。「3.136÷0.64」が引かれました。先ほどのきまり通りなら,当たりのカードです。喜んでいる子どもたちですが,実際に計算を行い商を確かめます。
結果は「4.9」です。わられる数よりも大きくなったので当たりのカードです。やはり,子どもたちが見つけたきまりは正しかったようです。
その後もゲームを続けます。カードのわる数の大きさによって,「やったー」「終わったー」などの悲喜こもごもの声が聞こえてきました。
本実践は東洋館出版社「板書シリーズ」を参考にしています。