次のように子どもたちに投げかけます。
「商が割られる数より大きくなる式を引いたら当たりゲームをしよう」
この問題文では,状況がうまくイメージできない子どももいます。
「6÷2=3だから外れ」
「6÷0.2=30だから当たり」
具体的な式が子どもから生まれてきました。具体例があることで,問題場面のイメージ化ができました。この段階で「きまりがあります」という声が聞こえてきました。しかし,この段階ではまだその声は取り上げませんでした。
実際のゲームを始めます。代表の子どもがカードを引きます。引かれたのは「2.2÷0.11」でした。カードを見た子どもからは,「よし!」「1より小さい」などの声が聞こえてきました。勝利を確信した声やきまりに気づいた声です。しかし,式を見てもすぐに当たりかどうかが分からない子どももいます。そこで,実際に計算をして答えを確かめます。
答えは「20」です。割られる数の「2.2」よりも大きくなりました。当たりです。この結果から,きまりに気づく声が生まれてきました。
「きまりがあるよ」
「わる数が1よりも小さいと,商は大きくなるんだよ」
「似ているのをかけ算でもやったね。5月21日にやった小数のかけ算は,1より小さい数をかけると,積も小さくなるでその勉強と似ている」
「でも,それって反対の関係になっている」
「かけ算は増えるけど,わり算は減るでしょ。だから反対になるんだよ」
割る数が1よりも小さいと,商が割られる数よりも大きくなるきまりに気づく声が生まれてきました。さらにこの声をきっかけに,類似の学習を小数のかけ算でも取り組んだことなどが想起されてきました。既習がつながるよき学びの姿が生まれてきました。
しかし,このきまりに完全な自信を持っている子どもはこの時点では7割ほどです。実験した事例がまだ1事例だからです。
そこで,相手チームのカードを引きます。「3.136÷0.64」が引かれました。先ほどのきまり通りなら,当たりのカードです。喜んでいる子どもたちですが,実際に計算を行い商を確かめます。
結果は「4.9」です。わられる数よりも大きくなったので当たりのカードです。やはり,子どもたちが見つけたきまりは正しかったようです。
その後もゲームを続けます。カードのわる数の大きさによって,「やったー」「終わったー」などの悲喜こもごもの声が聞こえてきました。
本実践は東洋館出版社「板書シリーズ」を参考にしています。